2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16033216
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 隆幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 直和 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00302810)
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Keywords | X線結晶構造解析 / カテコールボラン / アリルシラン / ジヒドロシラン / ルイス酸 / ^<11>B NMR / 配位数 / 光異性化 |
Research Abstract |
本年度の研究では、2-(フェニルアゾ)フェニル基を有するケイ素化合物およびホウ素化合物について、アゾ基の光異性化を利用した配位数制御およびその性質の制御を目的として、検討した。はじめに、前年度の研究で見いだしたアリルジフルオロシランの光照射によるアゾ基の分子内アリル化を含む多段階反応について、クロス実験および対照実験を行うことにより、アゾ基のアリル化の段階がγ位選択的に分子内で進行していることを明らかにした。次に、2-(フェニルアゾ)フェニル基を有する種々のモノヒドロシラン、ジヒドロシラン、テトラヒドロジシロキサンを合成し、そのいくつかについてはX線結晶構造解析によって構造を明らかにした。テトラヒドロジシロキサンのE,E体に水共存下で触媒量のフッ化物イオンを作用させると、アゾベンゼンが還元されたジフェニルヒドラジンが得られたのに対し、光照射によって生成するZ,Z体ではシルセスキオキサンが得られ、光照射によって反応性を制御することに成功した。次に、ホウ素化合物についてホウ素の配位数を光照射によって制御するべく、検討した。2-(フェニルアゾ)フェニル基を有するピナコールボランを合成し、その単離に成功した。各種NMRおよびX線結晶構造解析により、E体ではホウ素がアゾ基の窒素の配位により4配位となり、四面体構造を示すことを明らかにした。一方、アゾ基の光異性化により得られるZ体ではホウ素が3配位状態であることを、^<11>B NMRより明らかにした。Z体は光照射により再びE体へと定量的に変換可能であった。すなわち、光照射によってホウ素の配位数を3配位と4配位との間で可逆的に制御することに成功した。以上のように、本年度の研究は計画通りに進めることができた。
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Research Products
(14 results)