2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホモアリル型アルコールの触媒的不斉エポキシ化反応の機構解明と速度論的光学分割
Project/Area Number |
16033218
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾中 篤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10144122)
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Keywords | 触媒的不斉エポキシ化反応 / Zr(OtBu)_4 / 酒石酸ジイソプロピル / クメンヒドロペルオキシド / モレキュラーシブ / ラセミ体ホモアリルアルコール / 速度論的光学分割 |
Research Abstract |
Zr(OtBu)_4,酒石酸ジイソプロピル,クメンヒドロペルオキシド,モレキュラーシブの組み合わせによる,ホモアリル型アルコールの触媒的不斉エポキシ化反応において,不斉触媒活性種となるジルコニウム錯体構造の解明を行った.Zr(OtBu)_4と酒石酸ジイソプロピルの混合比が,1対1および1対2から得られる金属錯体の分子量から,それぞれジルコニウムの3核錯体,単核錯体であることがわかった.これらの錯体の単結晶化を試みたが,単結晶X線回折にかけられるような結晶を得ることはできなかった.次に,この錯体構造をNMR解析してみたところ,複雑なスペクトルを与え,構造決定をすることができなかった. 2位炭素が置換されたホモアリルアルコールでは,2位炭素が不斉炭素となる.そこで,このラセミ体ホモアリルアルコールの速度論的光学分割の可能性を,上記触媒的不斉エポキシ化反応を用いて検討した.ラセミ体3-アリール-2-メチル-3-ブテン-1-オールを基質に用いて,種々の反応条件を検討した結果,実用的なレベルでの速度論的光学分割に成功した.これは,遷移金属錯体触媒を用いた第一級アルコールの速度論的光学分割反応の初めての成功例である. この光学分割反応で得られる未反応ホモアリルアルコール,および生成物であるエポキシド化合物の絶対立体構造も明らかにすることができた. 上記の光学分割反応で,基質を変えて調べたところ,分子中の3位にはアリール基,2位にはメチル基があると,高い不斉収率で光学分割できることも明らかになった.
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