2004 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属錯体におけるトランスメタル化反応の自在制御
Project/Area Number |
16033220
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小坂田 耕太郎 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (00152455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 康師 岡山大学, 理学部, 助教授 (20282858)
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Keywords | トランスメタル化 / パラジウム / ボロン酸 / Suzuki-Miyaura反応 / 反応機構 / 中間体 |
Research Abstract |
パラジウム錯体触媒による有機ボロン酸の交差カップリング反応の基礎反応であるトランスメタル化を錯体化学的な手法を用いて量論反応として実現し、その機構および触媒反応との関連について明らかにした。 テトラメチルエチレンジアミン(tmen)を含む4-メチルフェニル(ヨード)パラジウム錯体と各種芳香族ボロン酸との反応を酸化銀および水の存在下でおこなった。2,6-および2,4,6-フルオロフェニルボロン酸の室温の反応では相当する2つのアリール配位子をもつシス型のジアリールパラジウム錯体を合成単離することができた。反応混合物のNMRスペクトルからホウ酸の生成を確認した。 一方、2,4-ジフルオロフェニルボロン酸との反応では室温で量論的なクロスカップリング反応が進行し、2,6-ジフェニル-4'-メトキシビフェニルが高い収率で生成した。ここではジアリールパラジウム錯体は生成しているものの、ビアリールの還元的脱離がすみやかにおきている。錯体の構造をX線解析により明らかにした。これらのパラジウム錯体は室温溶液中では安定であるが、溶液を加熱することによってビアリールの還元的脱離をおこす。熱分解反応速度を追跡すると、反応はいずれの条件でも錯体濃度に一次の速度式にしたがった。パラジウム錯体は反応の過程でパラジウム金属として分離する。フマル酸ジメチルを添加した反応では、パラジウム金属の析出を抑えることができる一方、無添加の反応とほぼ同じ速度で反応が進行することから、生成物は還元的脱離反応に関与していないことがわかる。反応速度定数の温度変化からもとめた活性化エントロピーは小さい負の値であり、反応が四配位の状態から協奏的に進んでいることが示唆される。 以上、パラジウムを用いるボロン酸の量論的なトランスメタル化によるジアリールパラジウム錯体の生成をはじめて明らかにした。
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Research Products
(4 results)