2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16033221
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40168563)
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Keywords | タングステンカルボニル錯体 / カルボニルイリド / アゾメチンイリド / [3+2]付加環化反応 / 多機能性反応活性種 / 三環性インドール誘導体 / カルベン錯体中間体 |
Research Abstract |
本研究では、各種の遷移金属錯体を触媒量用いて適切なデザインを行った基質との反応を行い、金属部位を有する多機能性反応活性種を創出することにより、有機反応活性種としての反応と金属錯体としての反応を連続的に行うことのできる反応系を実現し、従来その合成に多段階を必要とした有用物質を一挙にかつ無駄なく合成する新手法の開発を行うことを目的とする。 本年度はまず、タングステンカルボニル錯体を用いるo-エチニルフェニルカルボニル化合物からのタングステン含有カルボニルイリドの生成とその電子豊富アルケンとの反応につき、特に反応機構に関する詳細な検討を行った。その結果、反応系中を直接NMRにより直接観測することにより、o-エチニルフェニルカルボニル化合物とタングステンペンタカルボニルから、平衡的に少量のタングステン含有カルボニルイリドが生成していることを確認することができた。また、幾何配置の定まった三置換アルケンとの反応を検討することにより、[3+2]付加環化反応が協奏的に進行していることを明らかにすることができた。さらに、付加環化反応により生成するカルベン錯体中間体の捕捉剤としてトリエチルシラン存在下で反応を行うと、反応の面選択性が変化することを見いだした。これより本[3+2]付加環化反応が室温で速やかに平衡が存在することを見いだした。このようなカルボニルイリドの反応に平衡が存在することは極めてまれな現象である。 併せて、タングステン含有アゾメチンイリドの反応についてもその一般性の拡大を目指し、基質の検討を行った。その結果、各種の三環性インドール誘導体が簡便に合成できることを明らかにすることができた。
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