2005 Fiscal Year Annual Research Report
活性S-S結合による結晶相光応答錯体分子の構築と光機能の解明
Project/Area Number |
16033223
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
磯辺 清 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (70101285)
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Keywords | 結晶相 / フォトクロミズム / 光反応 / ジチオナイト錯体 / ジャンピング運動 / 反応ダイナミクス |
Research Abstract |
本研究の目的は、可逆な光応答機能をもつ新規ジチオナイト錯体[(Cp^*Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SSO_2)](Cp^*=η^5-C_5Me_5, M=Rh:1a)と[(Cp^*Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-OSOSO_2)](2a)との間の特異な結晶相フォトクロミズムの反応ダイナミクスの解明を通して、次世代記録媒体開発のための基礎科学を確立することである。 この結晶相光反応における速度および選択的酸素移動反応と・-O_2SSO_2周りの空間の形状・大きさあるいはCp^*配位子のダイナミックスとの関連性を調べた。その結果、結晶中で1aの2つのCp^*配位子がお互い異なるジャンピング運動エネルギー障壁もち、違う速度で回転運動していること分かった。そして2aに異性化する際に、1a中の4つの酸素うち、最もCp^*の回転運動を阻害していると考えられる特定の1つの酸素のみが移動することが分かった。なお特定の1つの酸素は,6つのCp^*配位子で構成される空間との間で,最も混み合った位置にある酸素である。このように選択的酸素移動反応は,結晶空間の動的要因と静的要因とが同時に絡んで進行していると考えられる。 そこで、1aと2aのCp^*回転運動の変化の様子を明らかにするとともにキネティックコントロールで生成した2aの安定異性体への結晶相移行反応も明らかにした。安定異性体への移行は,光反応によるフォトクロミズムを経由して進行するものと熱的に直接移行する2つのパスがあることを見出した。
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