2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規な含カルコゲン二座配位子を有する金属錯体の合成と動的挙動の解明
Project/Area Number |
16033224
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
村井 利昭 岐阜大学, 工学部, 教授 (70166239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝原 文利 岐阜大学, 工学部, 助手 (60362175)
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Keywords | セレノホスフィン酸誘導体 / セレノホスホン酸誘導体 / キラル識別 / 光学活性アルコール / 光学活性アミン |
Research Abstract |
通常の有機化合物の酸素原子を同族のイオウ、セレン、テルル原子で置き換えることで多くの新しい化合物群を設計することができる。一般に第三周期以降の原子は、よりソフトであることやイオン半径が大きくなることから遷移金属などへ強い配位力を有する分子の構築が期待される。その中でこれまでカルボン酸、リン酸誘導体のカルコゲン原子同族体を基盤とする配位子の設計、新合成反応の開発を行ってきた。ここでは、特にP-キラルセレノホスフィン酸誘導体ならびにビナフチル基を有するセレノホスホン酸誘導体に着目し、金属錯体の合成と動的挙動の制御を目指した。 一連の研究の鍵出発化合物となる光学活性P-キラルセレノホスフィン酸塩化物の合成を検討し、光学活性セレノホスフィン酸フェネチルアミン塩を塩化オギザリルで塩素化することで目的を達成した。得られた塩化物の絶対構造、安定性さらにはリン原子上での反応の立体化学を明らかにした。すなわち塩化物は中性条件では安定である一方、酸性条件下ラセミ化が進行すること、酸素、セレン求核体による置換反応はラセミ化を伴うが、イオウ求核体との反応はリン原子上での反転を伴って進行することが分かった。最後に光学活性セレノチオホスフィン酸アンモニウム塩を対応するエステルから導くことにも成功した。 セレノホスホン酸誘導体は対応する塩化物とアルコールやアミンとの反応で合成した。この中でアルコールとの反応はラセミ体のキラル識別に利用できること、ジアステレオマーの再結晶法による分離、さらにそれらから光学活性アルコールを高い光学純度で得た。また誘導体とアミンとの反応は、キラル炭素上で立体反転を伴って進行すること、これを利用することで神経伝達系に作用する薬物であるアミン類を導くこともできた。
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Research Products
(6 results)