2004 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟な多次元骨格に支えられた動的金属酵素モデルの創製
Project/Area Number |
16033225
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
近藤 満 静岡大学, 理学部, 助教授 (80254142)
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Keywords | 自己組織化 / 構造・機能材料 / 高分子構造・物性 / 分子認識 / 酵素反応 / 多孔性機能 / チャンネル構造 / 動的固体 |
Research Abstract |
金属酵素の優れた特徴の一つに、基質分子を高度に認識した上で、立体構造を可逆的に変化させる動的機能を有することが知られている。このような優れた基質認識とその動的挙動を兼ね備えた新規多孔性固体として、金属錯体をNH---O=C分子間水素結合で連結した新規金属錯体を合成し、その機能について検討を行った。イミダゾール酢酸(Hima)を酢酸ニッケルとメタノール中で反応させることにより、目的化合物であるimaが2つキレート配位したニッケル錯体を合成した。得られた錯体には更にメタノール2つがアキシャル位から配位した正八面体構造を有している。単結晶構造解析の結果から、この錯体、[Ni(ima)2(MeOH)2]2MeOH、は分子間がNH---O=C結合で連結された一次元構造を形成し、さらにこれらが、OH---O=C水素結合で連結されることにより、一次元チャンネルを有する三次元骨格を形成していることを見いだした。この化合物は100℃で乾燥させることにより、アモルファス化合物[Ni(ima)2]に変化することが分かった。さらに、この化合物はメタノール蒸気と反応して、最初の多孔性化合物を可逆的に再生することを明らかにした。非常に興味あることに、この再生反応は、メタノールに対して、非常に高選択的に起こり、エタノール、あるいは水を始めとするそれ以外の溶媒では進行しないことを見いだした。非常に新しい動的挙動の開発として、乾燥サンプルにメタノールを添加することにより、多孔性機能が発現することを確認した。これは、多孔性固体としての機能をメタノールの添加という、外部刺激により選択的に誘起しえる非常に新しい機能発現である。とりわけ、再生したチャンネル内に新たな分子を取り込めるという、新しい機能を見いだしたことは、この分野において非常に新しい発見である。
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