2004 Fiscal Year Annual Research Report
高分子固定化型キラル遷移金属錯体の形成と不斉反応への応用
Project/Area Number |
16033230
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
伊津野 真一 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (50158755)
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Keywords | 高分子固定化触媒 / キラル1,2-ジアミン / 不斉水素化反応 |
Research Abstract |
光学活性1,2-ジアミンが種々の不斉反応において優れたキラルリガンドであることから、本研究では、高分子への固定化を試みた。その合成法の確立、BINAP-RuCl_2との錯体の形成、ケトンの不斉水素化反応への応用について検討した。 1級の1,2-ジアミン構造を残したまま高分子に固定化するためにフェノール性OH基を有するジアミンの合成についてはすでに確立しているので、これを用いて種々のモノマーを合成した。重合性官能基にはスチレン型を用い、キラルジアミンモノマーを得た。1,2-ジアミンの持つ2つのOH基への重合性官能基の導入は、架橋剤型キラルモノマーを与える。このモノマーと種々のアキラルモノマーとの共重合を検討した。スチレン、メタクリレート、アクリレート、アクリルアミド型のアキラルコモノマーを、キラル1,2-ジアミンモノマーと共重合した結果、不溶性の高分子が高収率で得られた。一方、1,2-ジアミンの2つのOH基のうち片方だけに重合性官能基を導入したモノマーを合成することで、ジアミンが架橋点に存在することなく、錯体形成時に適切なコンフォメーションを取ることが可能になる。このモノマーからは可溶性及び不溶性架橋高分子を合成した。 上記の共重合により得たキラル1,2-ジアミン高分子とBINAP-RuCl_2との錯体を形成させ、芳香族ケトンの不斉水素化反応を行った。溶媒として2-プロパノール/DMF混合溶媒を用いると、すべての高分子錯体で反応が進行し、高選択的に対応するキラルアルコールを得ることができた。架橋剤型キラルジアミンモノマーを重合した高分子では、メチルメタクリレートをコモノマーとした場合、反応性が向上した。重合性官能基を一つだけ導入したキラルジアミンモノマーを重合した高分子は、さらに反応性が改善され、エナンチオ選択性についても低分子錯体を用いた場合と同じ選択性を実現できた。これらの高分子錯体は繰り返し再使用することが可能で、20回の再使用実験で、触媒活性はまったく低下することがなかった。
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Research Products
(5 results)