2004 Fiscal Year Annual Research Report
環拡大ポルフィリノイド多核金属錯体の動的構造と金属間相互作用
Project/Area Number |
16033240
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀬恒 潤一郎 神戸大学, 理学部, 教授 (10117997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LINTULUOTO J・M 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (20379481)
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Keywords | ポルフィリノイド / カリックスフィリン / 多電子酸化還元 / テトラピロール / オクタフィリン / 不斉金属錯体 / コバルト錯体 |
Research Abstract |
環サイズの大きなポルフィリノイドは、新しい機能分子として期待されている。オクタフィリンは単核、複核錯体を容易に与え、その不斉構造や骨格変換反応等の興味ある知見が報告されているが、環サイズのより大きなポルフィリノイドの金属錯体に関する研究は殆どない。本研究では、比較的柔軟な環構造を持つカリックスフィリン型の大環状化合物と比較的硬い構造を持つ完全π共役系の環拡大ポルフィリンのコバルト錯体の合成を行い、その動的構造を明らかにすると共に、酸化還元特性についても明らかにした。 カリックスフィリンはπ共役したテトラピロール繰り返し単位がsp^3炭素で連結された大環状構造を有し、その金属錯体の構造や物性は興味深い。新規な2成分カップリング反応による環化について検討し、最大44個までのピロールを含むカリックス[4n]フィリンを単離同定することができた。ポルフィリノイドとしては24個のピロールを含む誘導体が最大のサイズであったが、格段に大きなポルフィリノイドの合成に成功した。このうち、カリックス[8]フィリンはコバルト単核錯体を高収率で与え、カリックス[16]フィリンはコバルト複核錯体を与えた。一般に分子構造の自由度が大きい巨大環状化合物は金属錯体の生成には不利であるが、カリックス[16]フィリンは錯体形成が可能であり、構造組織化されることを見いだした。 完全π共役系の環拡大ポルフィリンであるオクタフィリン(1,0,1,0,1,0,1,0)のコバルト錯体は塩化メチレン中、フェロセン基準-1,68,-1,19,-0.14,+0.27,+0,73Vに5段階のredox波を示した。このような多電子酸化還元活性を有する単核錯体はプロトンや金属イオン等の陽イオンあるいはフッ素イオン等の陰イオンと相互作用しうる空洞を有しており、複合機能を有する動的錯体の開発に有用である。
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