2004 Fiscal Year Annual Research Report
イミドイル金属活性種とそのフッ素化合物合成への応用
Project/Area Number |
16033241
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
網井 秀樹 神戸大学, 理学部, 助教授 (00284084)
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Keywords | 有機フッ素化合物 / イミドイル金属種 / 有機金属化学 / 触媒的不斉合成 / 含フッ素アミノ酸 |
Research Abstract |
含フッ素イミドイル金属活性種は、アシルアニオン等価体として作用する、有機フッ素化合物合成において有用な活性種である。本研究の目的は、含フッ素イミドイル金属種の構造、及びその一連の反応について調査することである。 私たちはイミドイル金属種の有用な合成化学的展開を期待し、今回、イミドイルパラジウム種を経由して得られる含フッ素イミノエステルを用いて、光学活性含フッ素アミノ酸誘導体の合成を行なった。まず、金属マグネシウムによる選択的C-F結合切断反応を用いて、ブロモジフルオロメチルイミノエステル(1)を合成した。続いて、ブロモイミノエステル1の不斉水素化反応を行なった。「フッ素系アルコールを反応溶媒とする均一系パラジウム触媒系(Pd/BINAP/TFE)」を用いると、ブロモ基等の官能基を損なうことなく、アミノエステル(R)-2が高い不斉収率(88% ee)で得られた。続いて、アミノエステル(R)-2の臭素官能基を利用したラジカル的C-アリル化反応、それに続く酸化的変換を行なうことにより、光学活性ジフルオログルタミン酸誘導体(87% ee)、ジフルオロプロリン誘導体(>99% ee)を得ることに成功した。 また、ジフルオロエノールエーテル3とヘテロ環化合物との酸化的クロスカップリング反応を行なった。ジフルオロエノールエーテル3の1電子酸化により生じたカチオンラジカル種に着目し、これとヘテロ環(求核剤)との反応によるジフルオロケトン合成を検討した。
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