2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16033250
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中沢 浩 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00172297)
|
Keywords | ホスファイトボリル錯体 / ボリル錯体 / 分極 |
Research Abstract |
遷移金属-ホウ素-リンの結合配列をもつ錯体は、M-B^--P^+という分極を考えると、M-C-Cと等電子構造となる。しかし、金属にはホウ素原子が共有結合で配位しているため、従来の有機金属錯体は異なる新しい化学の展開が期待できる。本研究ではメタラボリルホスファイト錯体の合成を行ない、その構造と反応性について検討を行った。 近年我々は(C_5R_5)(CO)_3MoMe (R=H, Me)にホスファイトボランであるH_3BP(NMeCH_2)_2(OMe)を反応させることにより、Mo-B-P結合配列をもつ錯体である(C_5R_5)(CO)_3MoBH_2{P(NMeCH_2)_2(OMe)}が生成することを見いだしている。そこで、この生成物と種々の有機物との反応の検討を行った。MeOTfとの反応では(C_5R_5)(CO)_3MoMeおよびTfOBH_2P{NMeCH_2}_2(OMe)が生成することを見いだした。また、MeIとの反応でも同様にメチルモリブデン錯体が生成することを見いだした。これは、モリブデンとホウ素間の共有結合がMo^-とB^+に大きく分極していることを示している。実際、(C_5Me_5)(CO)_3MoBH_2{P(NMeCH_2)_2(OMe)}のIRスペクトルのカルボニル伸縮振動は1966,1880cm^<-1>に観測され、これは対応するメチル錯体である(C_5Me_5)(CO)_3MoMeの2008,1929cm^<-1>の比べると約40cm^<-1>低波数側にシフトしており、Moフラグメントが負に分極していることと良く一致している。 次に、PMe_3との反応を検討した。反応を^<31>P NMRおよび^<11>B NMRで追跡したところ、まずジアミノ置換ホスファイトがPMe_3で置換された(C_5Me_5)(CO)_3MoBH_2(PMe_3)が生成し、その後過剰にあるPMe_3がさらに反応して[(C_5R_5)(CO)_3Mo][H_2B(PMe_3)_2]が生成することが明らかとなった。この反応もMo^--B^+の分極を考慮すると、正に分極しているホウ素上で、ジアミノ置換ホスファイトは、それよりも電子供与性の強いPMe_3に置換したものと考えられる。
|
-
-
[Journal Article] Copper(II) Complexes with a novel tris(3,5-diisopropyl-1-pyrazolyl)methane ligand, [Cu(X)_2(HC(3,5-^iPr_2pz)_3)] (X=Cl and NO_3)2004
Author(s)
K.Fujisawa, T.Ono, H.Aoki, Y.Ishikawa, Y.Miyashita, K.Okamoto, H.Nakazawa, H.Higashimura
-
Journal Title
Inorganic Chemistry Communications 1
Pages: 330-332
-
-