2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16033251
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山子 茂 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30222368)
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Keywords | 多置換アルケン合成 / 立体選択的反応 / ビニル金属 / ラジカルカップリング / シリルテルリド / ビニルテルリド / ビニルシラン |
Research Abstract |
金属とヘテロ元素との動的な結合を利用して新しい反応試剤を設計・合成することは、新しい反応開発の基礎となる重要な課題である。本研究では、シリルテルリドを中心とした14族金属テルリドと有機分子との反応性に着目して、ラジカルカップリング反応を中心に新しい有機分子変換法を開発すると共に、カップリング生成物の有効な変換反応についても検討を行った。 トリメチルシリルフェニルテルリド、カルボニル化合物、およびアルキンとを混ぜて加熱することで、多成分ラジカルカップリング反応が起こり、ビニルテルル構造を持つシリルオキシ基を持つアリルアルコール誘導体が得られることを最近見出している。この生成物のビニルテルル官能基においてテルル-金属(主にリチウム)交換を行ったところ、ケイ素が酸素からビニル炭素へと転移を起こし、アリルアルコール構造を持つビニルシランが高収率かつ立体選択的にで得られることを見出した。出発ビニルテルリドのオレフィンの幾何異性によらず、単一の立体化学を持つ3置換および4置換のビニルシランが得られた。この反応の機構について解明したところ、テルル-金属交換に引き続くアルケンの異性化において、立体特異的にビニル金属種が分子内でケイ素を捕捉することで、生成物が得られることを明らかにした。さらに、このビニルシランを武田カップリングを用いて変換を行うことで、ビニルシランの立体化学を保ったまま炭素置換された多置換アルケンが立体選択的に合成できることを明らかにした。この方法は、現在合成的に困難な課題である、立体選択的多置換アルケンの合成法として有用であると考えている。
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