2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属触媒を用いるβ-水素脱離を制御したオレフィンへの求核付加反応の開発
Project/Area Number |
16033259
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
太田 哲男 同志社大学, 工学部, 教授 (50213731)
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Keywords | 選択的合成・反応 / 有機金属触媒 / 触媒設計・反応 / 環境調和型反応 / 求核付加反応 |
Research Abstract |
[RuCl_2(p-cymene)]_2をAgOTfで処理して得られる錯体にホスフィン配位子を組み合わせると,クロロホルム中で本反応に対する触媒活性を示すことが明らかとなった。スルホンアミド類とスチレンの反応においては二座ホスフィン配位子の利用が効果的であり,80%を超える収率で目的物を与えた。 ルテニウム前駆体に1,2-ビスジフェニルホスフィノベンゼン(DPPBen)を作用させた後,AgOTfで処理して得られた錯体の^1H NMRからp-シメンがルテニウム上に芳香環として配位していること,^<19>F NMRからルテニウムに配位したOTfと配位していないOTf^-が存在すること,^<31>P NMRからジホスフィン配位子がキレート配位していることが明らかとなった。また,単結晶X線構造解析にも成功し,NMRの解析結果が正しいこと,並びに,ルテニウムに配位したOTfは単座型であることが示された。単離・構造決定したルテニウム-DPPBen錯体を用いてスチレンに対する各種ヘテロ求核剤の付加反応を検討したところ,アルコールやカルボン酸さらにはスルホンアミドがスチレンに効率よく付加することを見出した。 Xantphos-ルテニウムカチオン性錯体は良好な触媒活性を示し,これまで反応の進行がほとんど見られなかったオレフィン類に対しても付加反応が進行することが示された。2-フェニル安息香酸のオレフィンに対する付加反応では,オレフィンとして1-ヘキセンや1-オクテンのような直鎖アルケン,(Z)-二置換であるシクロヘキセンでも80%を超える収率で反応が進行した。さらには,これまで反応しなかった脂肪族カルボン酸でも付加が観察され,マンデル酸が芦アリルアニソールに付加し,64%収率でマンデル酸3-(4-メトキシフェニル)-2-プロピルを与えた。
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