2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16033260
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
村橋 俊一 岡山理科大学, 客員教授(常勤) (60029436)
|
Keywords | C-H結合活性化 / 酸・塩基両性触媒 / 遷移金属ヒドリド錯体 / グルタルイミド合成 / カプロラクタム合成 / ニトリルのクロスカップリング |
Research Abstract |
我々はすでにIrH_5(PiPr_3)_2(1)がニトリルとニトリルのクロスカップリング反応の優れた触媒になることを見出している。この触媒反応ではニトリルのα位のC-H結合活1生化とCN3重結合の活性化が同時に起こっており、C-H結合の活性化により生成した錯体が活性化したニトリルに付加している。そこでこのC-H結合の活性化した錯体中間体をアクリロニトリルにマイケル付加させると1,3-ジニトリルを合成することが出来るので、次にこれを加水分解して生成するアミドの分子内縮合反応が起これば、グルタルイミドが得られると期待される。グルタルイミドは医薬品の重要な基本骨格であり、製薬業界ではこれまで強い塩基によるカルバニオンの生成、そのマイケル付加反応により1,3-ジニトリルを合成し、これを濃硫酸で処理して低収率で合成してきた。我々はIrH_5(PiPr_3)_2が強い塩基の機能と濃硫酸の機能を併せ持つ中性のきわめて優れた触媒であることを見出した。これは強い塩基と強い酸の両方の機能を併せ持つ酸化還元能力を有する中性の両性錯体触媒である。たとえば、1-フェニルプロピオニトリルとアクリロニトリルと水の混合物(1:1:5)のTHF溶液にIrH_5(PiPr_3)_2触媒を加えて封管中で150℃で反応させると相当するグルタルイミドが94%単離収率で得られた。さらにこの反応の応用を多角的に検討した。また中性の酸化還元能力のあるルイス酸機能を有する触媒反応の探索研究として遷移金属ヒドリド錯体触媒を用いるアミノニトリルからプロラクタムの合成を検討した。6-アミノカプロニトリルと水の反応では7員環形成のため一般的に困難であるが、RhH(PPh_3)_4あるいはRuH_2(PPh_3)_4を触媒として用いると効率よくカプロラクタムが合成できた。
|
Research Products
(6 results)