2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16033260
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
村橋 俊一 岡山理科大学, 工学部, 客員教授(常勤扱) (60029436)
|
Keywords | C-H結合活性化 / 酸・塩基両性触媒 / 遷移金属ヒドリド錯体 / グルタルイミド合成 / カプロラクタム合成 / イリヂウム触媒 |
Research Abstract |
有機合成プロセスではH_2SO_4、AlCl_3などの酸やt-BuOK、(i-Pr)_2NLiなどの強塩基が用いられているが、これらの反応剤を用いた場合、反応後に中和処理が必要で、その際に塩が生成する。今日の工業廃棄物の中で水中の塩の処理が大きな問題となっている。そこで、酸化還元能のあるルイス酸機能や塩基機能を有する遷移金属錯体触媒、さらには理想的な酸と塩基の両方の機能を有する中性のambiphilic遷移金属錯体触媒を創出し、これを用いる基本的な有機合成反応の開拓が必須である。 我々は酸化還元能を有するルイス酸触媒としてRuH_2(PPh_3)_4触媒を用いて、6-アミノバレロニトリルからナイロン-6の合成原料のカプロラクタムを効率良く合成することに成功した。さらにアクリロニトリルに2-アミノエタンチオールを付加させて得られるアミノニトリルを同様に反応させると硫黄を含むカプロラクタムが効率よく得られた。 酸や塩基を用いる多段階反応では反応剤同士が相殺しあって塩を生成し、反応が停止する。そこで酸と塩基の両方の機能を有する中性のambiphilic遷移金属錯体触媒の開拓が必須である。IrH_5(PiPr_3)_2が強い塩基の機能と濃硫酸の機能を併せ持つ極めて優れた酸化還元能力を有する中性の両性錯体触媒であることを見出した。ニトリルのC-H結合の活性化した錯体中間体をアクリロニトリルにマイケル付加させ、1,3-ジニトリルを合成し、これを加水分解して生成するアミドの分子内縮合反応を行えば、医薬品の重要な基本骨格グルタルイミドが合成できる。グルタルイミドはこれまで強い塩基によるカルバニオンの生成とマイケル付加反応により1,3-ジニトリルを合成し、これを濃硫酸で処理して低収率で合成してきた。さらに、C-H活性の高いシアノ酢酸エステルをニトリルの代替として用いることにより、反応条件下でエステルの加水分解と脱炭酸も起し、より温和な条件下で相当するグルタルイミドを効率よく合成することに成功した。
|
Research Products
(6 results)