2005 Fiscal Year Annual Research Report
多座アリールオキシド配位子を用いた動的金属錯体反応場の構築
Project/Area Number |
16033263
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
川口 博之 分子科学研究所, 錯体化学実験施設, 助教授 (20262850)
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Keywords | フェノキシド配位子 / 多座配位子 / 電子欠損型錯体 / ヒドリド錯体 / 小分子活性化 |
Research Abstract |
鎖状型フェノール三量体の中心のフェノール部位をメチル化したアニソール-フェノキシド混合型配位子[O_3^<Me>]^<2->を用いたジルコニウム錯体による水素分子おとび一酸化炭素の活性化反応を行った。 Zr(CH_2Ph)_4と配位子の前駆体H_2[O_3^<Me>]を1:1で反応させると、ベンジル錯体[O_3^<Me>]Zr(CH_2Ph)_2が定量的に得られる。錯体[O_3^<Me>]Zr(CH_2Ph)_2は単核錯体であり、[O_3^<Me>]^<2->は3座配位子として金属に結合しており、5配位の3角両錐型構造をとる。ベンジル錯体は室温で1atmの水素分子と速やかに反応し、2核錯体[O_3^<Me>]_2Zr_2(CHPh)(H)_2を与える。反応過程で、ベンジル配位子の水素化によるトルエンおよびヒドリド配位子の生成、ベンジル配位子のα水素活性化によるベンジリデン配位子の生成が起こっている。錯体[O_3^<Me>]_2Zr_2(CHPh)(H)_2では2つの金属間をベンジリデン配位子および2つのヒドリド配位子が架橋している。 ベンジリデン錯体に室温で1atmの一酸化炭素を作用させると、2つのオキソ配位子が架橋した2核錯体[O_3^<Me>]_2Zr_2(O)_2およびフェニルアレーンの生成が観測された。この反応では、一酸化炭素のC-O結合切断、C-CおよびC-H結合生成が進行している。^<13>COを用いた実験より、アレーン骨格の2つの炭素は一酸化炭素に由来していることを確認した。 一般に、前周期遷移金属のオキソ配位子は不活性であるが、オキソ錯体[O_3^<Me>]_2Zr_2(O)_2はMe_3SiOTf、続いてMe_3SiClと反応し、[O_3^<Me>]_2Zr_2(Cl)_2(OTf)_2を与える。この反応では、オキソ配位子が(Me_3Si)_2Oへと変換されている。 クロロ配位子およびトリフレート配位子は置換活性でらる。錯体[O_3^<Me>]_2Zr_2(Cl)_2(OTf)_2と4倍当量のPhCH_2MgClを反応させることにより、出発錯体[O_3^<Me>]Zr(CH_2Ph)_2を得ることが出来る。 以上、[O_3^<Me>]Zrを再生可能な金属錯体反応場として用いることにより、一酸化炭素と水素分子をアレーンへと変換する合成サイクルを構築することが出来た。
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Research Products
(4 results)