2004 Fiscal Year Annual Research Report
実時間超音波組織弾性イメージングに基づくがん診断の知的支援技術に関する研究
Project/Area Number |
16035201
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
椎名 毅 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (40192603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 英利子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (40302426)
宮永 直人 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (00241828)
竹村 淳 東京農工大学, 工学部, 助手 (20297617)
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Keywords | 生体医工学 / 医用超音波計測 / 知的診断支援 / 組織弾性 / がん診断 / 非侵襲生体計測 / 組織性状情報 / 実時間処理 |
Research Abstract |
超音波画像診断は、その非侵襲性、実時間性、簡便性により臨床の場では幅広く用いられているが、腫瘍像のコントラストが低く、微妙な陰影の変化を読み取る必要から熟練を必要とし、また腫瘍の良悪性の鑑別が困難な場合もある。それに対し、近年、組織の硬さの分布を可視化する超音波組織弾性イメージングが、疾病による組織性状の変化を敏感に捉え早期診断や腫瘍の良悪性鑑別能を向上させる新しい診断情報として注目されている。本研究では、この組織弾性イメージング法に基づいたがん診断への知的支援技術を開発することを目的とする。 これまで、我々は、予備的な研究として、臨床適用可能な実時間超音波組織弾性イメージング装置を開発し、100例以上の乳がんおよび前立腺がんの症例について、超音波Bモード像と組織弾性イメージとの同時計測を行ってきた。その結果、乳がん腫瘤の組織弾性イメージでは、良性から悪性まで5段階の特徴あるパターン(弾性スコア)に分類することができた。さらに、この弾性スコアを用いることで、Bモード像のように複雑な読影技術を必要とせず、簡便に90%近い正診率を得られたため、本研究では、この弾性スコアに基づく計算機診断支援を試みた。 すなわち、腫瘤領域内での弾性値(歪み)の大きさと分散などを指標にして、5段階に分類するアルゴリズムを開発した。臨床画像86枚(患者29人)に対して、読影と上記のアルゴリズムで判定した弾性スコアについて比較検証した結果、両者には89%の一致が見られた。 一方、前立腺においては、乳腺より複雑な弾性イメージのパラーンを示すものがあり、歪みだけでなく圧迫値を用いた定量化が必要なことが判明した。 今後の課題として、Bモード像による診断情報と統合することによる正診率の一層の向上と、前立腺がん診断への適用が上げられるが、本研究により組織弾性イメージによる知的診断の有用性が確認されたと言える。
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Research Products
(7 results)