2004 Fiscal Year Annual Research Report
サブミリ波宇宙観測に向けて:実験室分光による遷移周波数・分子定数の精蜜測定
Project/Area Number |
16036202
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
天埜 尭義 茨城大学, 理学部, 教授 (60037249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百瀬 宗武 茨城大学, 理学部, 助教授 (10323205)
平尾 強司 茨城大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 星間分子 / 星間化学 / サブミリ波 / イオン |
Research Abstract |
我々の実験室でのD2H+イオンのサブミリ波遷移周波数に基づき、Vastel, Phillipsはいくつかのpre-stellar coreでこのイオンが同定された。その結果、H2D+とD2H+でわずかではあるが速度が異なることが示された。その違いのひとつの原因として、実験室での周波数(静止周波数)が十分制度が高くないのではないかと彼らは示唆した。それを受けて、我々は、H2D+およびD2H+のサブミリ波遷移周波数を再度精密に測定し、二つのイオン間の速度の違いは事実であることを示した。この結果は、Journal of Molecular Spectroscopyに投稿した。 低周波数ではよく知られているイオンでもサブミリ波領域では系統的に測定されていないものが多い。HCNH+、HN2+、C3H2+の回転遷移測定をサブミリ波領域まで広げた。CH3CNH+のサブミリ波スペクトルをはじめて観測するのに成功した。これらの精密なサブミリ波遷移周波数は将来の天文観測の重要な指針になるものと思われる。 CH5+の探査のため従来のExtended Negative Glow放電管の微小ガス導入口に改良を加えた。それを用いCH5+のJ=1-0遷移のサーチを行っているが、まだ明確な信号は得られていない。赤外観測からH3+は暗黒星雲中で最も多量に存在する分子のひとつである。H5+はH3+とH2のコンプレックスであり、極低温では安定に存在し得る。われわれは、このイオンが星間空間の化学で重要な役割を果たしているのではないかと考え、本年度はチェコ国立研究所のSpirko氏の協力でその回転スペクトルを理論的に検討した。回転スペクトルはサブミリ波から遠赤外線領域に現れる。結果は論文2報として公表予定である。
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Research Products
(3 results)