2005 Fiscal Year Annual Research Report
サブミリ波宇宙観測に向けて:実験室分光による遷移周波数・分子定数の精蜜測定
Project/Area Number |
16036202
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
天埜 尭義 茨城大学, 理学部, 教授 (60037249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百瀬 宗武 茨城大学, 理学部, 助教授 (10323205)
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Keywords | 星間分子 / 星間化学 / サブミリ波 / イオン |
Research Abstract |
我々の実験室での測定結果に基づき星間分子雲中で発見されたD2H+イオン及びH2D+イオンの速度がわずかではあるが異なることが示唆された。その原因を追求するために再度これらの周波数を精密に測定した。その結果は、Journal of Molecular Spectroscopyに発表し速度の違いは依然として解消されないことを示した。すでにALMAの建設は始まっており、サブミリ波領域での種々の星間分子およびその候補となる重要な分子の周波数測定は急務である。その中でも、低周波数ではよく知られているイオンでもサブミリ波領域では系統的に測定されていない、HCNH+、HN2+、C3H2+の回転遷移測定をサブミリ波領域まで広げた。また、CH3CNH+のサブミリ波スペクトルをはじめて観測するのに成功した。 単に、星間分子として重要であるのみならず分子ダイナミクスの観点からこの上なく興味深い系であるCH5+のサブミリ波検出を試み、J=2-1の周波数帯で数本の吸収線を見つけた。現段階では、その帰属、同定は確実ではないが、CH5+である可能性が高く、継続して測定を続けることが望ましい。H5+はH3+とH2のコンプレックスである。われわれは、このイオンが星間空間の化学で重要な役割を果たしていうのではないかと考え、昨年度、チェコ国立研究所のSpirko氏の協力でその回転スペクトルを理論的に検討した。回転スペクトルはサブミリ波から遠赤外線領域に現れる。これに関連して特に暗黒星雲中での重素濃縮の結果D3+の存在が予測されるが、D3+の検出は直接的には極めて困難であり、H5+の重水素置換体であるD3H2+の検出が間接的にD3+の検出につながる可能性をロンドン王立協会の研究会で指摘した。
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Research Products
(6 results)