2004 Fiscal Year Annual Research Report
中間赤外分光観測による銀河系及び系外銀河の星間塵の進化の研究
Project/Area Number |
16036203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾中 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 英則 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80361567)
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Keywords | 中間赤外線スペクトル / 星間物質 / 星間塵 / 超新星残骸 / 矮小銀河 / 大マゼラン星雲 / 我々の銀河系 / 中間赤外線未同定バンド |
Research Abstract |
Infrared Space Observatory(以下ISO)で検出された22μmバンドの確認を目的に、Spitzer Space Telescope(以下SST)による超新星残骸、星生成領域、近傍銀河の中間赤外線分光観測を行なった。この結果、ISOで検出が確認された竜骨座星生成領域はSSTに対しては輝度が大きく、ほとんどの観測領域で信号が飽和し、バンドの存在を確認することはできなかった。飽和限界に近い領域のスペクトルには、22μmのバンドの存在は確認できず、このバンドが極めて限られた領域に存在する可能性が示唆された。またこのバンドが超新星起源であることを確認する目的で超新星残骸Keplerの分光を行い、連続光成分に20μm前後に22μmバンドとは異なる幅広いバンド構造を確認した。Keplerのスペクトルには、多くの重元素からの輝線が検出され、超新星残骸におけるダスト生成等について、詳細な解析を行っている。これらと平行して、8つの系外銀河についても同様の中間赤外線分光観測を行ったが、いずれにも明瞭な22μmバンドは検出できなかった。これらの系外銀河のスペクトルを用いて、鉄及び珪素の存在量、電離ガスの密度、また中間赤外線の炭素系ダストからのバンド(中間赤外線未同定バンド)及び連続光の性質の解析を行っている。特に、一般の星間空間で普遍的に見られる、中間赤外線未同定バンドが星生成活動の大きな矮小銀河では、ほとんど検出されないことを見いだした。我々の銀河系内でのバンドプロファイルの変化と併せて、これらの結果から、バンドキャリアの起源についての検討を行っている。また、大マゼラン星雲での中間赤外線から遠赤外線域のスペクトルを詳細に解析し、遠赤外の輻射率の波長依存性が波長の-1乗に比例すること、中間赤外線超過の量が我々の銀河系に比べて少ないこと、また若い星団の周りでは、12μm/25μmの比が著しく小さくなるが、若い星を伴いない分子雲では大きな値を示すことを明らかにした。
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Research Products
(6 results)