2004 Fiscal Year Annual Research Report
充填スクッテルダイト系の異常結晶場励起と混成相互作用
Project/Area Number |
16037203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉本 義夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70111250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠瀬 博明 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00292201)
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Keywords | 近藤効果 / 中性子散乱 / X線散乱 / 四極子 / 超伝導 / 混成相互作用 / 結晶場 / 金属絶縁体転移 |
Research Abstract |
平成16年度は,以下の2つの方向から研究を遂行した。 1.まず4fサイト間の相互作用を無視したモデルで,混成相互作用の効果を(1)結晶場準位の形成,および(2)ダンピングを含む励起スペクトルの両面から調べた。そのために,4f殻構造を考慮して,混成相互作用の行列要素を計算した。Prの場合には,混成によって生ずる中間状態は4f1と4f3である。行列要素の計算はfractional-parentage係数9j係数などを含むので,現存する表を参照すると共に数式処理を用いてこれらを能率的に扱った。リガンドの電子状態は,まず局在軌道を考え,各対称性の分子軌道がどのように寄与するのかを考察する。パラメータの数をSlater-Kosterの方法によって少数に抑える。次に,リガンド電子がバンドを形成する効果を考慮する。充填スクッテルダイト系のバンド構造としてはAPW法による計算が既に報告されており,唯一つのSlater-Kosterパラメータのが利くことがわかっている。結晶場準位の導出を行った後に,励起スペクトルを主にNCA法を用いて計算した。 2.スクッテルダイト系の電子秩序を分子場理論で研究した。特にPrFe4P12の示す2つの秩序相と,強い磁場方向依存性について,現実的な結晶場構造と多極子相互作用を取り入れたモデルで議論した。その結果,特定の磁場方向でのみ現れる秩序状態の性質がかなり明らかになった。我々の理論を検証できるものとして,高磁場下の弾性異常と格子変形を予言した。 上記の計算には現有パソコンとワークステーションを用いたが,数式処理をはじめ各種のソフトウェアを更新して使用した。また,国内外の研究者と,情報交換と可能な共同研究を行うために必要な出張を行った。研究遂行に際しては,申請者の指導するポスドクと大学院生に各段階で研究協力をしてもらった。
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