2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16037207
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
古賀 幹人 静岡大学, 教育学部, 助教授 (40324321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正茂 静岡大学, 理学部, 助手 (20281058)
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Keywords | 物性理論 / 磁性 / 強相関電子系 / 低温物性 / 超伝導材料・素子 |
Research Abstract |
初年度の計画では、「Prイオンの原子構造を考慮した微視的モデルの構築」およびそれに基づいて「PrOs_4Sb_<12>で観測される磁場誘起秩序相の解明」を行うことであり、前者の目的はほぼ達成された。今回構築したモデルによって進展させた研究は、磁場誘起秩序相ではなく、次年度に計画していた「立方晶系に特有な超伝導状態の理解」の方である。周囲の研究の状況を鑑みて早急に取り組むべき課題としてこちらを優先した。 以下、得られた新しい知見を列挙する。 (1)Prイオンの結晶場励起による励起子を媒介とした超伝導について現実的な理論を構築し、PrOs_4Sb_<12>で見られる超伝導状態について可能な対称性を導いた。 (2)特に、低磁場側で観測された2回対称性と、スクッテルダイト系を特徴付けるT_h結晶点群対称性との関係を明らかにした。 (3)ナイトシフトの実験で示唆されているスピン三重項の超伝導状態の安定性について、T_hの対称性が重要であることを示した。 以上の成果の一部は論文として学術雑誌に公表した。 次年度は、中性子散乱の実験によって得られた励起スペクトルと超伝導の関係を調べ、上述の超伝導の現実性について検討する計画である。
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