2004 Fiscal Year Annual Research Report
14属元素で置換した充填スクッテルダイトおよびその関連化合物の高圧合成と物性評価
Project/Area Number |
16037212
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福岡 宏 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00284175)
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Keywords | ゲルマニウム化合物 / 高圧合成 / ゲルマニウム / 重い電子系 / セリウム化合物 |
Research Abstract |
CeSn_3はCu_3Au型構造を持ち、重い電子系の化合物として有名である。この化合物中におけるCeの電子状態は詳細に研究がなされており、その物性には3価と4価のセリウムの価数揺動が強い影響を与えていると考えられている。また同型構造のCePb_3も既に知られており、特異な物性が報告されている。これに対し同族元素であるゲルマニウムは原子半径が小さいため、同型化合物は知られていなかった。しかしもし合成できたならばその物性は大変興味深い。そこで高温・高圧条件下におけるCeとGeの反応を詳細に検討したところ、5万気圧1600℃という条件によって、Cu_3Au型構造を有するCeGe_3の合成に初めて成功した。電気伝導度の測定では金属的な振る舞いが観測され、また磁化率の測定からCeの価数はCeSn_3よりも4価に近い状態となっていることを強く示唆する結果を得た。今後さらに信頼性の高い物性データを得るために単結晶の育成を目下試みている。 また、Ce以外の希土類元素とGeの反応によって、PrGe_5,NdGe_5などの新たなジャーマナイドの合成にも成功した。これらは各二元系において最もゲルマニウム含有率の高い化合物である。更にストロンチウムとゲルマニウムを5万気圧、1200℃という条件で反応させることで、新規ゲルマニウムナノネットワーク構造を有するSrGe_<6-d>を得た。本化合物はGe-Ge共有結合からなるホストネットワークが大きなケージを形成し、その中にSrイオンが入った構造を持つ。構造解析によって、高圧によって形成されたと考えられるGeの歪んだ結合が存在することが明らかになり、伝導度と磁化率の測定からは金属的な性質が認められた。熱電特性は期待したほど高くなかったが、元素置換などの化学修飾により、この構造がラットリング機構による良好な熱電材料の母構造となる可能性がある。
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