2004 Fiscal Year Annual Research Report
立方対称性を有するf電子系化合物における多重極相互作用の研究
Project/Area Number |
16037213
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
椎名 亮輔 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (30326011)
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Keywords | スクッテルダイト / 立方対称性 / 多重極相互作用 / Pr化合物 / 結晶場 / f電子系 / 四重極 / 磁場 |
Research Abstract |
立方対称を有するf電子系化合物は、単純な結晶構造にも関わらず、非常に複雑な相転移を示すものが少なくない。近年、その原因の一つが、f電子の持つ多重極自由度にあることが分かってきた。本研究計画は、現実の物質とくにスクッテルダイト化合物とその関連物質を舞台として、異なる希土類イオン間に働く多重極相互作用の起源と役割を明らかにすることを目的としている。 本年度は、主にPrOs_4Sb_<12>の磁場誘起相転移の理論を発展させた。我々の研究のとくに重要なポイントは、実験的に明らかになった1重項-3重項結晶場準位における多重極相互作用が、スピンダイマー系との類推に基づく擬スピン表示を用いることで、非常に見通し良く理解できることを示したことである。この手法により、磁場方向による異方性の起源が非磁性多重極相互作用にあることを明らかにし、またPrOs_4Sb_<12>の相図に見られる特徴的な異方性がTh結晶場中の四重極相互作用によって良く記述できることを示した。さらにこの四重極モデルを用いて、非弾性中性子散乱スペクトルの計算を行った。非磁性相互作用の影響が散乱強度の波数依存性に現れることを指摘し、また磁場中のスペクトルの形状について詳しく調べた。
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