2004 Fiscal Year Annual Research Report
充填型スクッテルダイト構造を持つ物質のミュオンスピン回転、緩和法による研究
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16037214
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
髭本 亘 特殊法人日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 副主任研究員 (90291103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門野 良典 大学共同利用法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (10194870)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 超伝導材料、素子 / 物性実験 / 低温物性 |
Research Abstract |
16年度はμSR測定により以下の実験を行った。 (1)PrO_s4Sb_12とその関連物質の超伝導体のミュオンナイトシフト測定による超伝導スピン対の対称性の決定や渦糸格子状態の磁場侵入長測定による多重超伝導状態と渦糸格子状態の関わりとLaによる置換、効果の研究 ミュオンによるナイトシフトはミュオンのスピンが1/2であることから電場勾配の影響を受けずに行うこができるためNMRに較べて有利であり、明確な結論が期待できる。PrO_s4Sb_12のμSR測定ではナイトシフトに超伝導転移点の上下で全く差が見られず奇パリティの超伝導状態にある可能性を示した。またPrのLaによる置換では時間反転対称性の破れた超伝導状態の出現に伴う内部磁場カミLa濃度の上昇とともに小さくなることを見出した。 (2)PrFe_4P_12の重い電子状態、あるいは四極子秩序が予想される状態でのナイトシフトあるいはスピン緩和現象測定による四極子秩序の解明 ナイトシフトを明確に観測することに成功した。四極子転移点の上下で超微細構造定数に差が生じ、ナイトシフトの温度依存性に大きな差が生じることを見出した。 (3)PrFe_4P_12の金属絶縁体転移の起源を探る。 ミュオンスピン緩和の温度依存性からは金属絶縁体転移温度付近で異常は観測されず、磁気転移との関わりは否定された。またf電子のダイナミクスが特に低温で上昇することを見出した。 (4)CeOs_4Sb_12の低温における相転移の解明 低温のバルク測定で見られていた異常の起源を探ったところ、その転移が磁気転移であることを見出した。磁性にはランダムネスが見られ、スピン密度波状態で説明可能ではないかと考えられる。また同時に低周波の磁気揺らぎが観測され、量子臨界点近傍による効果と見られる。
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Research Products
(2 results)