2005 Fiscal Year Annual Research Report
f-電子多体系の磁性と超伝導に対する微視的理論:j-j結合描像に基づくアプローチ
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16037217
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
堀田 貴嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (00262163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 弘明 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究職 (10354903)
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Keywords | f-電子系 / 磁性 / 超伝導 / j-j結合描像 / 充填スクッテルダイト / 多極子自由度 / 近藤効果 / 動的ヤーンテラー効果 |
Research Abstract |
さまざまな格子上でj-j結合描像に基づいてΓ_8軌道縮退モデルを構築し、f電子のホッピングに関する2次摂動理論で多極子相互作用を導出して、多極子秩序状態を考察した。その結果、単純立方格子ではΓ_<3g>四極子秩序、体心立方格子ではΓ_<2u>八極子秩序、面心立方格子ではΓ_<5u>八極子秩序が現れることを明らかにした。面心立方格子の場合の八極子秩序は、NpO_2で現象論的に提唱されていた構造と一致する。次に、充填スクッテルダイト化合物を念頭において、a_uバンドの伝導電子と混成するf電子の多極子感受率を、まずは電子格子相互作用を含まない軌道縮退アンダーソン模型に基づいて、数値繰り込み群法を用いて評価した。f^2の場合の磁化率の温度依存性から、Γ_1が基底状態でも、わずかなエネルギー差でΓ_4が励起状態になっていれば、双極子および磁気八極子揺らぎが低温まで生き残ることを明らかにした。さらに、E_g対称性をもつヤーンテラーフォノンとe_u軌道のf電子の相互作用項を付け加えて、数値繰り込み群法によって多極子感受率を計算した結果、動的ヤーンテラー効果によって擬似的な近藤現象が起こることを見出した。動的ヤーンテラー効果によって、基底バイブロニック状態は二重縮退を持つが、これは、ヤーンテラー中心のまわりの回転モードの右回りと左回りの自由度に起因する。回転モードの反転に対応する特徴的なエネルギーよりも温度を下げれば、右回りと左回りの自由度は失われ、log2のエントロピーが解放されるので、擬似的な近藤効果が生じる。充填スクッテルダイト化合物におけるラットリングがE_g対称性をもてば、それはf電子のe_u軌道とヤーンテラー結合をするので、このような非磁性起源の近藤効果が生じると考えられる。
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Research Products
(6 results)