2004 Fiscal Year Annual Research Report
π-d相関系有機導体の広帯域伝導性とダイナミックス
Project/Area Number |
16038205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松井 広志 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30275292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 直樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50124607)
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Keywords | 有機伝導体 / マイクロ波 / 金属絶縁体転移 / 超伝導 / 複素伝導率 / 擬ギャップ / 誘電分散 / 電荷移動錯体 |
Research Abstract |
超伝導体λ-(BEDT-TSF)_2GaCl_4(T_c=4.8K)において、0.5K<7<150Kの温度範囲で45GHzのマイクロ波伝導率測定を行った。T_c以下の超伝導状態におけるロンドン侵入長は、T/T_c<0.5の十分低温ではほとんど温度に依存せず、超伝導対称性がs波であることが判明した。一方、T_c以上の金属状態では、直流伝導率σ_<dc>に比較して複素伝導率の実部σ_1は小さくなり、かつ、複素伝導率の虚部σ_2ではT_cに向かって発散的な増大を観測した。この現象は、通常の金属状態における電磁波応答を記述するドゥルーデモデルでは説明できない新規な現象である。σ_1の減少は、マイクロ波損失に寄与する準粒子数密度の減少に関連しており、フェルミレベル近傍に擬ギャップの出現によると考えられる。この状態は、局所的な電子対の形成に起因した超伝導状態への前駆現象と考えられる。 α-(BEDT-TTF)_2I_3の面間方向についてラジオ波域の反射測定を行い、伝導率・誘電率の温度変化と周波数分散を得た。金属-絶縁体転移温度(135K)以上では、伝導率は分散をもたず、直流の値にほぼ等しいことが分かった。一方、転移温度以下では、伝導率が3桁ほど急激に減少し、周波数分散も見出した。しかし、誘電率はほぼ1程度であり、温度変化を示さない。面内方向の誘電率が10-10^2という大きい値をとることから、絶縁体状態の誘電性は極めて異方的であることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)