2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子性導体の超高圧下での圧力誘起超伝導と新奇物性の探索
Project/Area Number |
16038209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辺土 正人 東京大学, 物性研究所, 助手 (00345232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上床 美也 東京大学, 物性研究所, 助教授 (40213524)
藤原 直樹 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (60272530)
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Keywords | 超高圧容器開発 / β'-(BEDT-TTF)_2ICl_2 / 圧力誘起超伝導 |
Research Abstract |
今年度は、β'-(BEDT-TTF)_2ICl_2の超高圧下金属相での電子状態を明らかにするために、超高圧下での磁気抵抗の角度変化(SdH効果)によりフェルミ面の情報を得ることを試みた。そのためには、8GPaの高圧を発生でき、かつ冷凍機内で回転できるような超小型な高圧容器の開発が必須であった。そこでターンバックル式ダイヤモンドアンビルセル(DAC)と命名した新しい設計思想に基づく超小型容器を完成させ、約11GPaの圧力発生が可能であることを確認した。DACは一軸的な圧力を生じやすく、有機導体のような非常に脆い試料に対しては不利とされてきたが、圧力媒体や試料セッティング等を工夫することで、この物質で圧力誘起超伝導相を確認したキュービックアンビル装置という静水圧性の高い高圧装置のデータを再現することができるようになった。これまでに、最低温0.6K,最高磁場18T,最高圧8GPaの多重極限環境下でβ'-(BEDT-TTF)_2ICl_2の磁気抵抗の測定に成功している。しかし、まだ全温度領域で金属化させるところまで至っておらず、技術的な問題も含めて次年度の課題になっている。またもう一つの課題としてあげたキュービックアンビル装置の測定圧力限界の拡張という課題は、ガスケット材料の選定とその加工技術が問題になっていた。それに対して、ボロンエポキシ材をダイヤモンドエンドミルを用いて加工することで、高強度で大量生産できることがわかった。次年度はできあがったガスケットの圧力校正をして、新しい圧力誘起超伝導体を探索していく。
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Research Products
(4 results)