2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子性導体の超高圧下での圧力誘起超伝導と新奇物性の探索
Project/Area Number |
16038209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辺土 正人 東京大学, 物性研究所, 助手 (00345232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上床 美也 東京大学, 物性研究所, 助教授 (40213524)
藤原 直樹 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (60272530)
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Keywords | 高圧下電気抵抗 / 圧力誘起超伝導 / 有機導体 / TMTTF塩 |
Research Abstract |
今年度はキュービックアンビル高圧装置を用いて、(TMTTF)_2SbF_6の超高圧下電気抵抗を10GPaまで行った。1.5GPa以上では電気抵抗に2つの変曲点が観測され、低温への半導体的振る舞いによる抵抗の増加は急速に抑制されていった。5GPa以上では変曲点は1つになり、5.4GPa以上では2K付近に抵抗のkinkが観測された。その抵抗の急激な減少は加圧とともに大きくなり、10GPaにおいても観測された。この異常は超伝導転移によるものであると考えている。実際、6.8GPaで1Tの磁場を印加すると、1.8Kまでの範囲でこの抵抗の急激な減少は観測されなかった。とても興味深いことは、この超伝導転移温度は6.5GPaで2.7Kにも達し、低温で半導体的振る舞いに変化する温度が圧力によって消失する臨界圧付近で超伝導転移温度も抑制されている。つまり圧力相図上で、T_cの圧力変化はM字型になっている。電気伝導は、6.6GPa以上では、全温度領域で金属的な伝導を示している。この領域ではT_c直上から温度のべきに依存する振る舞いが観測され、7GPaではT_c直上から約20Kまで温度に直線的に変化している。それが加圧とともにべきの次数が増加し、10GPaではT^<1.5>に比例する温度変化をしている。 これら結果は、これまでに報告のあった(TMTTF)_2PF_6よりも超伝導転移が1K程度高く、その出現するする圧力範囲も広い、またその圧力相図での形状も異なっている。この違いは、(TMTTF)_2PF_6の過去の報告よりT_cが高いことや、転移に伴う抵抗の減少の温度幅が狭くシャープであることから、超高圧下での静水圧性が大きな要因であると我々は考えている。このことは、(TMTTF)_2PF_6の高圧下測定の再検証が重要であることを示唆しており、我々はキュービックアンビルプレスでの追試を行った。
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Research Products
(3 results)