2004 Fiscal Year Annual Research Report
拡張共役系を基盤とする電子移動系の構築と新機能開拓
Project/Area Number |
16038217
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安蘇 芳雄 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60151065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家 裕隆 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (80362622)
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Keywords | オリゴチオフェン / リン原子架橋型ビチオフェン / チオフェン縮環イミダゾリウム / 共役拡張オリゴマー / HOMO-LUMOエネルギー / 電子吸収スペクトル / 蛍光スペクトル / 酸化還元電位 |
Research Abstract |
オリゴチオフェンを基本骨格として化学修飾よる電子状態の制御および分子間相互作用の制御に基づく高効率電子伝達系の構築と光・電子機能素子への応用をめざし,リン原子架橋型ビチオフェンおよびチオフェン縮環イミダゾリウム部位を組み込んだ共役拡張オリゴマーの合成を行い,物性を評価した。分子軌道計算によりいずれも顕著なLUMOレベルの低下が示唆された。 1.ホスフィンスルフィド架橋ビチオフェンのX線結晶構造解析から,ビチオフェン骨格の高い平面性を明らかにした。ボスフィンオキシド架橋ビチオフェンから,SuzukiカップリングあるいはSonogashiraカップリング反応で合成した共役拡張化合物において,チオフェン鎖で共役拡張すると,吸収,蛍光極大の長波長シフトと共に還元電位が観測され,リン原子架橋によるLUMOの低下が寄与していることが明らかとなった。一方,フェニルあるいはフェニルエチニル部位を導入した化合物では,蛍光極大の長波長シフトと良好な蛍光量子収率が観測された。CV測定の結果はフェニルエチニル基による拡張の方がLUMOの低下に寄与することを示している。 2.チオフェン縮環イミダゾール誘導体からStilleあるいはSonogashiraカップリングと続くメチル化によって,オリゴチオフェン4量体(4T)および4T-エチニル基で共役拡張したイミダゾリウム誘導体を合成し,物性を評価した。電子吸収スペクトル,蛍光スペクトル共に4T-エチニル基拡張化合物の方が長波長に現れ,分子全体の共平面性が高く,共役拡張効果が大きいことが分かった。異なる支持電解質を用いてCV法による酸化還元電位の測定を行ったところ,比較化合物である4Tは,支持塩の種類によらず酸化電位は同じ値を示したが,拡張分子の酸化電位には顕著な変化が認められ,オリゴチオフェン部の電子状態が対イオンの種類によって制御可能であることが分かった。
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Research Products
(5 results)