2004 Fiscal Year Annual Research Report
1次元有機化合物の絶緑相における電気伝導機構の解明
Project/Area Number |
16038220
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
溝口 憲治 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (40087101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 浩一 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (90187047)
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Keywords | 分子性有機導体 / 電子スピン共鳴(ESR) / Mott糸角縁体 / ホールソリトン / 分数荷電ソリトン / W-band ESR / DMe-DCNQI |
Research Abstract |
本研究では、以下のような観点について研究を進め、いくつかの興味ある結果を得た。 1)1/4-充填ダイマー型モット絶縁体、(DMe-DCNQI)2M、(M=Li、Ag、LiーCu)、 2)8GPaの高圧下で反強磁性から超伝導への転移を示す(BEDT-TTF)2IC12、 3)BEDT-TTFの2次元シートとTCNQの1次元鎖からなるβ',β"-(BEDT-TTF)TCNQ、 そして、交互積層型の 4)圧力下で中性-イオン性転移を起こす(BEDT-TTF)(ClMeTCNQ)、 5)120Kで分子間の重なりの変化に伴う1次転移を起こす(BEDO-TTF)(Cl2TCNQ)、 6)金属イオンを挿入したDNAの電子状態 1)については、Li塩について詳しい結果を報告してきたが、Ag塩、Li-Cuの混晶塩についても、94GHz(W-band),35GHz(Q-band)ESRにおけるスピンダイナミクスの研究を進め、DCNQIカラム間のホールソリトンを媒介としたホッピングが鎖間ホッピングや電気伝導度を支配していること、また、Ag, Cuと金属イオン種を変えるにつれて、4d,3d電子軌道とDCNQI分子のπ軌道との混成効果が顕著になり、鎖間ホッピング、電気伝導度共に急激に増大することを見出した。この結果の解析から、4kF-CDWのMott絶縁体相における電気伝導機構を統一的に理解する見通しがついた。 2)については、2GPaまでの圧力下でスピン磁化率の温度依存性を調べ、反強磁性転移温度が急激に増大することを見出した。更に、圧力を増やせる装置開発により、超伝導相にどのように繋がり、超伝導との関わりを調べる手がかりとして行きたい。 3)については、BEDT-TTF(ET)シート内の磁性とTCNQ鎖の磁性の関わり、その間の相互作用が興味深い。WとQバンドESRにより、両分子層間の相互作用を調べた結果、非常に弱い結合しかしていないこと、且つ、通常期待される熱励起型の温度依存性とは逆の、温度上昇と共に鎖間ホッピングが指数関数的に遅くなる、という興味深い結果を得た。また、両カラム内の磁気的秩序が別の温度で起こり、且つ、互いの影響が非常に弱いと思われる結果が得られた。 4)については、PRLに発表した中性-イオン性転移温度が高くなるとクロスオーバー的であることを見出した。
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