2004 Fiscal Year Annual Research Report
屈曲した分子骨格を有する新規なπ拡張型ドナーを用いた有機磁性伝導体の構築
Project/Area Number |
16038222
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤原 秀紀 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助手 (70290898)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 豊成 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (30093256)
|
Keywords | 有機伝導体 / 電子供与体 / 磁性体 / カチオンラジカル塩 / 構造有機化学 / 結晶構造 / 安定有機ラジカル |
Research Abstract |
我々はこれまで、屈曲した分子骨格を有するドナー分子を用いた磁性伝導体の開発を行っている。今回、水素結合ネットワークによる新しい構造を有する分子性伝導体の開発を目的として、エチレンジオキシ基を置換したドナー分子の合成を行い、そのカチオンラジカル塩の結晶構造および電気伝導・磁気性質を検討した。1:1組成のFeBr_4塩では、FeBr_4^-イオンはドナー層内に深く入り込んでドナー分子の短軸方向に存在し、硫黄及び酸素原子と臭素原子の間で多くの短い接触による非常に強いπ-d相互作用が見られる。この塩は二量化した構造から予想されるように、室温電気伝導度は10^<-4>Scm^<-1>の低い値を示したが、15Kの高いNeel温度で反強磁性体へ転移することが明らかになった。一方、2:1組成のGaBr_4塩は室温で200Scm^<-1>程度の非常に良好な電気伝導性を有し、4.2Kまで金属的な伝導挙動を示した。これまで、屈曲した分子骨格を有するドナーの塩では低温まで安定な金属状態を示すものは見つかっておらず、この塩が最初の安定な金属となった。同様に磁性のFeCl_4^-やFeBr_4^-イオンを有する塩においても37-78Scm^<-1>程度の伝導性を有し、低温まで安定な金属状態を示した。磁化率を測定すると、FeBr_4塩では-12K程度の比較的強い反強磁性的な相互作用が見られたが、1.9Kまでの温度範囲では磁気秩序化は認められなかった。
|