2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16038225
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
青沼 秀児 大阪電気通信大学, 工学部, 助教授 (70231777)
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Keywords | 分子性導体 / 磁性伝導体 / 有機伝導体 / DONQI / 金属錯体 / 混合原子価 / π-d相互作用 / πアクセプター |
Research Abstract |
分子性導体における複合機能化の観点から、新しいπ-d系あるいは磁性伝導体の開発を行なった。本研究では、強いπ-d相互作用を示す分子性導体として知られている(DCNQI)_2Cu錯体に対して、以下のような変更を加え、新しい分子性導体の探索を試みた。 (1)DCNQIはpara-キノイド構造を有するπアクセプター分子であるが、ortho-型の構造を持つDCNQI類縁体を合成した。o-ベンゾキノン類から合成したortho-型DCNQIは不安定で取り扱いが困難であった。しかし、アセナフテキノイド構造を中心π系として用いることにより、ortho-型DCNQI類縁体であるにも関わらず高い安定性をもつ新規アクセプターDCNAの合成に成功した。このアクセプターを用いて、Li,Cu等の金属イオンとの錯体作製を行なったが、極めて高抵抗であった。今後、アセナフテキノンに対する電子吸引性置換基の導入やπ共役系の拡張により、高い電気伝導性の実現を図る。 (2)DCNQIやDCNAとNi,Pd等の2価の遷移金属イオンとの錯体作製を試みたところ、電気伝導性を示す結晶が得られた。(DCNQI)_2Cuでは、銅が混合原子価状態にあることが重要であるが、Ni塩ではそのIRスペクトル分析から(DCNQI^<-1>)_2Ni^<+2>であると考えられる。 (3)安定有機ラジカルであるTEMPOラジカルを導入したアンモニウムイオンを対カチオンとするDCNQI錯体を作成したところ、半導体的な電気伝導性と奇妙な磁性を示す結晶が得られた。この物質は、軽い元素のみからなる純有機磁性半導体であり、今後、その物性と構造について詳細に検討していく。
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