2004 Fiscal Year Annual Research Report
イオン・ビームを用いた軽金属材料表面のガラス化とガラス複合材料開発に関する研究
Project/Area Number |
16039201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
四竃 樹男 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30196365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 晋二 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (40208012)
土屋 文 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90302215)
藤 健太郎 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40344717)
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Keywords | イオンビーム / 金属ガラス / 非平衡相 / 貴金属イオン / Zr / 電子線 / 中性子線 |
Research Abstract |
本年度は、Zr基金属ガラスをとりあげ、局所構造に重要な役割を果たすとされる貴金属元素のイオン注入による金属ガラスの構造変化、ガラス安定性への影響について調べた。さらに、原子衝突効果と元素添加の効果について検討するため電子線、中性子線照射実験を行った。試料には単ロール法で作成した幅5mm、厚さ50μmのリボン状Zr基合金を用いた。タンデム型加速器を用いて0.1〜1.5MeVのエネルギーを持つ貴金属Ag,AuおよびCuイオンを照射し、照射前後および熱処理による表面近傍の構造・電子状態の変化をX線回折および光電子分光法で調べた。また、ラザフォード後方散乱法により注入イオンの深さ分布を測定した。電子線よび中性子線照射は、それぞれ日新ハイボルテージおよび日本原子力研究所にて行った。 イオン照射では入射イオンの質量、エネルギーおよび照射量が増加するに伴い、表面数nm程度にZrO_2層が形成された。スパッタリングによる表面活性化に伴い、表面でのガス吸着により酸化が進行したと考えられる。Zr_<55>Ni_5Al_<10>Cu_<30>合金の熱処理の結果は、Au照射では未照射試料と同じb.c.t-Zr_2Cuの形成が中心であるが、Agイオン照射試料ではf.c.c-Zr_2Ni相が現れた。Cuイオン照射試料ではZr_2Niの生成がより顕著になるほか、他の合金相も観察された。イオン注入により、非平衡Zr_2Ni相析出が促進されたと予想される。これまでf.c.c.-Zr_2Cu相ははじき出しにともなうミキシング効果が原因と考えられていたが、電子線照射では、原子はじき出しが起こらないエネルギーにもかかわらず、f.c.c-Zr_2Cu形成が進行することが明らかになった。さらに、Cu_<55>Zr_<40>Al_5合金では照射にともない結晶化温度が高くなり、中性子照射初期にはビッカース硬さが増加しやがて減少するなどの新事実が見出された。
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Research Products
(1 results)