2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16039204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
花田 貴 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80211481)
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Keywords | 金属物性 / 構造・機能材料 / 放射線、X線、粒子線 / 物性実験 |
Research Abstract |
前半はZr60 Al15 Ni25のNi周辺局所構造をX線吸収微細構造(XAFS)により評価した。ガラスと結晶のNi-K吸収端測定は高エネ研PFのBL13にて行われた。解析の結果、ガラス試料ではメインのNi-Zr距離が2.62Å、結晶試料ではNi-Zr距離2.67Åであった。結晶ではNi-Ni距離2.49ÅのNiによる散乱の寄与が認められた。軽元素Alは原子数が少ない、散乱因子が小さい、原子間ポテンシャルの谷が重元素に比べ浅いため、他の元素に押しのけられるように原子間距離の分布が広がり易い、の理由でNi吸収端XAFSへの明らかな寄与を認めにくい。従って、軽元素そのものの吸収端測定が必要である。 後半はPd78 Cu6 Si16金属ガラスの軽元素Si周辺局所構造を直接的に評価するため、Si-K吸収端のXAFS測定を広島大HiSORのBL3にて行った。AlはSiよりK吸収端エネルギーが低く測定可能領域から外れている。当初は超高真空での測定を考えていたが、Si-K吸収端で、Pd78 Cu6 Si16に対するX線進入長が0.55μmであることから表面には敏感ではないこと、X線の大気圧Heガスによる吸収は200mmの行程でも5%以下、厚さ20μmのBe窓による吸収が30%程度であることから、He置換雰囲気での測定で十分であった。測定の結果、約360eVの範囲(最大光電子波数9.7Å-1)まで振動構造が観測された。またSi-K吸収端の位置は酸化されたSiの場合より約7eV低く、第一ピークの形状からもSiの化学結合状態はSi単体のものと類似しており、Pd、Cu配位原子との間の電荷移動はほとんど無いことが分かった。次年度は解析を進めガラス状態のSi周辺局所構造を明らかにし、さらに結晶化した試料のSi-K吸収端測定を行いガラスと結晶でのSiの組み込まれ方の変化を調べる。
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