2004 Fiscal Year Annual Research Report
空孔サイズの直接測定による金属ガラスの相安定化機構ならびに結晶化機構の解明
Project/Area Number |
16039213
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白井 泰治 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20154354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 秀樹 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20202749)
水野 正隆 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50324801)
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Keywords | アモルファス / 陽電子 / 陽電子寿命 / フリーボリューム |
Research Abstract |
金属中に入射した陽電子は、原子間のすきまを選択し、その位置で電子と対消滅する性質を持っている。また、その際に観測される陽電子の寿命は、空隙の大きさ(空孔サイズ)で決まり、空孔のサイズが大きいほど陽電子寿命は長くなる。この性質を利用して、金属ガラス中の空孔サイズとその分布を直接測定することができる。また、過冷却液体状態や、その状態からの結晶核生成・成長過程における空孔サイズの変化を、バルク状態のまま連続的にその場追跡することが可能である。 金属ガラスの卓越した相安定性の起源を明らかにするために、アモルファスを金属-金属系、金属-非金属系、共有結合系の3種に分類して、系統的に研究を進めた。金属-金属系では、2種類の原子の並び方は組成としてはランダムで化学的にほぼ均一な構造であり、組成に関する短距離秩序はないと考えられ、従ってトポロジカルな短距離秩序とその変化を直接的に抽出できる。 本年度は、Zr_<55>Al_5Cu_<10>Ni_<30>バルクアモルファスの陽電子寿命を測定した。陽電子平均寿命は163ピコ秒であった。この寿命値は、結晶化後の陽電子平均寿命値より長く、アモルファス状態のフリーボリュームが大きいことが明らかになった。室温から613Kまで、20K、30分のステップで等温焼鈍を行ったが、陽電子寿命はほとんど変化しなかった。この結果から、Zr_<55>Al_5Cu_<10>Ni_<30>バルクのアモルファス構造は熱的に安定であることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)