2005 Fiscal Year Annual Research Report
IV族-貴金族合金の過冷却液体及びガラス状態におけるミクロ構造とダイナミクス
Project/Area Number |
16039215
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武田 信一 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (10111733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川北 至信 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (50264015)
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Keywords | IV属-貴金属合金 / 静的構造 / ガラス / 液体合金 / Au-Si / Au-Ge / ダイナミクス / 共晶組成 |
Research Abstract |
今年はIV属のAu-Si及びAu-Ge合金系について共晶組成領域を中心として液体状態の構造の詳細を調べる目的でSpring8 BO4B2及びBLO8Wの高エネルギーX線ビームラインを用い測定をおこなった。Au-Si系に関しては昨年度の共晶組成の近傍の測定に加えてAu_<75>Si_<25>組成で800℃、500℃、またAu_xGe_<(1-x)>についてはx=0.82、0.8、0.6,0.5の各組成でX線透過法により温度変化の測定を行った。これらの結果からAu-Si系の金属ガラスで報告されているような1.5(1/A)近傍でのプレピークはこれらのAu-Si及びAu-Ge液体合金系では観測されなかった。またこれらの液体合金系の共晶組成領域について原子配位の詳細な情報を得るためリバースモンテカルロ(RMC)法による解析を行った。その結果によると共晶組成領域での配位は基本的にはAuとSi又はGe原子が置換した構造が考えられる。また共晶組成では密な液体合金であり、温度の下降と共にさらに密に成ることが推測される液体であること、またその組成から少しSi又はGe濃度の多い側では液体の揺らぎが増大し、隙間のある様な液体となる結果が得られた。このSiやGe濃度の少し多い領域では稠密な液体中に隙間が形成されること、その自由度が急冷でガラス形成される要因であると考えられる。主としてAu-Si合金系については急冷物質の国際会議(RQ12、2005,Aug, Jeju, Korea)で発表してきた。またAu-Si合金系の中性子回折の結果については中性子の国際会議(ICNS2005,Nov., Sydney, Australia)で発表してきた。また液体Au-Si及びAu-Ge合金系の結果をまとめて高温物質の化学の国際会議(HTMC、Vienna、Austria)等で発表予定である。これらのガラス転移温度が0℃程度であるため、これらのガラス状態と液体状態の構造との関連を調べるために、急冷でガラスを作った後、試料を液体窒素で-40℃程度まで冷却し、ガラス状態を確認しつつ、Spring8 BLO8Wで測定を行い興味深い結果を得た。これらの合金液体のダイナミクス、動的性質については中性子準弾性散乱実験の他に、超音波を用いた音速・音波吸収測定結果をまとめ、非晶質物質の国際会議(NCM 10,2006,Sep., Prach, Czech Republic)等で発表予定である。
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