2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16039216
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
三浦 永理 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70315258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 康弘 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10217086)
白石 孝信 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (10150468)
久恒 邦博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20037526)
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Keywords | バルク金属ガラス / 生体用チタン合金 / 赤外線ろう接 / レーザーろう接 / Pd_<40>Cu_<30>P_<20>Ni_<10> / 接合強度 / SEM観察 / 人工唾液浸漬試験 |
Research Abstract |
比較的遅い冷却速度でガラス化する金属ガラスの優れた形成能を利用し,金属ガラスのチタン系生体材料用ろう材への応用を試みた.バルク金属ガラスCu_<60>Hf_<25>Ti_<15>,Mg_<65>Cu_<25>Gd_<10>,Zr_<55>Cu_<30>Al_<10>Ni_5,Pd_<40>Cu_<30>P_<20>Ni_<10>をろう材候補とし,Ar減圧中赤外線ろう接法及びYAGレーザー溶接法の2種類の方法を用いてろう接を行なった.接合後の試料は,光学顕微鏡及びSEM-EDXによる断面組織観察を行い,曲げ試験及び引張試験による強度評価を行なった.また,37℃人工唾液浸漬試験を行い,長期の人工唾液中保存による材料の劣化や構成元素の溶液中への溶解の有無を評価した.赤外線ろう接では,Mg_<65>Cu_<25>Gd_<10>以外の組成で接合が可能であった.一方レーザーろう接では,雰囲気制御不十分のため何れの組成でも十分な接合状態を得られなかった.赤外線ろう接後の試料で浸漬試験を行なった結果,Zr_<55>Cu_<30>Al_<10>Ni_5とPd_<40>Cu_<30>P_<20>Ni_<10>ろう接合材では経時変化が殆ど無く,実際の口腔環境においても優れた耐食性が期待できると考えられた.一方,Cu_<60>Hf_<25>Ti_<15>接合材ではCuの溶出が見られ,Mg_<65>Cu_<25>Gd_<10>接合材についても接合部の崩壊が起こった. 引張り及び曲げ試験の結果では,ろう材として使用した4種類の金属ガラスのうち,Pd_<40>Cu_<30>P_<20>Ni_<10>で優れた結果が得られ,引張り強度で比較すると,従来材のTi-Cu-Ni結晶ろう材よりも1.6倍程度の強度を示した.そこで断面組織のSEMを行なったところ,ろう接部はマトリックスをガラスとした包晶析出が観察された.また,破断は接合界面で起こっており,界面に出来るTi拡散層が接合強度を支配していることが判明した. 本研究成果は平成16年度日本金属学会秋期大会に置いて発表された.
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