Research Abstract |
誘電体バリア放電(DBD)は,簡便に非熱平衡プラズマが得られることから,産業界で幅広く利用されている.本研究では,放電の自己消弧用の誘電体バリアをコンデンサで置き換えることで,新たなプラズマ源の開発を目指す.本方式のDBDに対する利点は,1)消弧用コンデンサの容量で放電への投入エネルギーが容易に制御できる,2)DC駆動が可能,3)体積放電のみで沿面放電が起こらないため,プラズマの空間制御性に優れるなどである.上記の新しいプラズマ源を用いて,広い範囲で投入エネルギーを変えたときのプラズマの諸量(密度や温度)を明らかにすること,またこのプラズマ源に適した応用について提案することが研究の目的になる.実験では小容量のコンデンサを電極と接地部の間に直列に挿入して,バリア放電同様の原理で短時間のうちに放電を消弧する容量連結放電を大気圧プラズマ源として提案し,基礎特性や応用について調べた.実験を通して,以下の知見を得た.小容量のキャパシタを電極に付けることで,放電は短時間の間に消弧された.消弧キャパシタとして9.4pFを用いた場合,放電は約10nsで消弧された.放電1回で移動する電荷量は30nC程度,また消費エネルギーは0.24mJであり,ともに針対平板型のバリア放電と比較して2桁程度大きな値となった.プラズマへの投入電力は印加電圧の増加に対して,線形的には増加せず,階段状に増加した.また印加電圧の周波数や消弧キャパシタの容量を増やすと増加した.これらの結果は,理論式の予測と一致した.また,発生方式の比較としてバリア放電方のマイクロプラズマを生成した.短ギャップでは,ギャップ全体で放電が起こるのではなく,自己組織化といったクーロン力のつりあいで,配置が決定されることなどが明らかになった.気流を利用することで,プラズマは下流域で取り出せることなども明らかになった.そのほかの研究成果として,プラズマから壁にくる熱量を,複屈率を有する結晶でモニターできること,着火のプラグ放電として利用することで,燃焼の着火状態を制御できることなどがある.
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