2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノプラズマ創成とナノ空間表面分子質量分析法の融合研究
Project/Area Number |
16040205
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤浪 眞紀 千葉大学, 工学部, 助教授 (50311436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 幸一 千葉大学, 工学部, 教授 (60009529)
池添 泰弘 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (70334315)
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Keywords | フェムト秒レーザー / アブレーション / 液固界面 / 近接場光学顕微鏡 / 電場増強 / ハロゲン化物イオン |
Research Abstract |
本研究ではフェムト秒レーザー光照射による特異的なアブレーションおよびその分析への応用を目的とする。アプローチの一つは,局所的な電場増強効果を示す金属探針を用い,その先端にフェムト秒レーザーを集光照射することにより局所的に対象試料をアブレーションさせるものである。もう一つは液固界面でのフェムト秒レーザー照射による特徴的なアブレーション形状を明らかにすることである。 前者では,まず近接場光学顕微鏡をベースに装置を製作した。電解研磨により先端を先鋭化したタングステン探針をシアフォース制御で試料上約10nmの距離まで近接させる。探針の軸に対してほぼ垂直方向から直線偏光させたフェムト秒レーザー光を集光・照射した。試料はガラス上に蒸着した金あるいはアルミである。増強電場によってアブレーションが誘起され,その結果を原子間力顕微鏡により測定したところ,この溝状の凹凸は,幅50nm,深さ10nm程度であった。現在報告されているフェムト秒レーザー照射でのアブレーションサイズの最小値は,数百nmφの領域であるが,今回の試みにより探針の電場増強効果により一桁高い空間分解能でアブレーションを達成することに成功した。 溶液中でのフェムト秒アブレーションでは,試料はSiを用いて実験を行った。純水中とヨウ化カリウム溶液(0.7M)中で比較した。純水中では電子励起によるアブレーションの形状を反映したプロファイルであったのに対し,ヨウ化カリウム溶液中では熱励起のアブレーションに特徴的な周辺での盛り上がり形状が認められた。過渡格子法によりサブピコ秒オーダーの電子状態の変化を測定したところ,ヨウ化カリウム溶液中で数百fs以下の励起電子の電荷移動が観測された。その電荷移動により電子励起によるアブレーションの寄与が減少し,その分熱励起の割合が増加したために引き起こされたと結論した。
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