Research Abstract |
マイクロプラズマスラスターについて,(1)マイクロプラズマ源(内径2mm,長さ10mm)におけるプラズマ生成・維持,およびマイクロノズル(スロート径0.2mm)におけるプラズマ流れについて,作動ガスをアルゴンとしてモデル数値解析を行った.軸対称表面波励起マイクロプラズマについて、グローバルモデルと,マイクロ波電磁界に関するFDTD法を適用した.さらに,マイクロノズル流れについて,2温度モデルに基づくナビエ・ストークス方程式を適用した.解析の結果,(1)マイクロ波周波数と誘電体比誘電率が高いほどプラズマ生成が効率的,(2)マイクロノズルでは境界層がノズル断面の特性長と同程度となり境界層構造の理解と制御が重要,(3)マイクロ波電力<10Wにおいて推力2.5-3.5mN,比推力130-180s程度,であった.本マイクロプラズマスラスターが,小型衛星(<10kg)の軌道姿勢制御に適用できる.(2)さらにマイクロプラズマ源(内径1.5mm,長さ10mm、同軸型)を試作し,アルゴンガスを用いてマイクロ波励起マイクロプラズマの生成・維持,およびオリフィス(径0.4mm)を通しての真空中へのプラズマの超音速自由膨張を実証するとともに発光分光と静電プローブ計測によりプラズマ特性を把握し,推進特性を推定した.マイクロ波は周波数が2と4GHz(<10W),誘電体は比誘電率が6と12-25を用い、プラズマ源圧力は10kPa、ガス流量は50-500sccmであった。実験の結果,(i)周波数と比誘電率が高いほど発光強度は強くプラズマ密度は高い,(ii)マイクロ波電力2-10Wにおいて,オリフィス下流のプラズマ自由噴流におけるプラズマ密度は10^<11>-10^<13>cm^<-3>程度(プラズマ源では1桁程度高い),(iii)添加窒素分子の回転温度は1100-1500K程度,であることがわかった.回転温度をガス温度として,モデル解析結果にもとづくと,期待できる推力は1.5mN,比推力は70s程度であった.
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