2004 Fiscal Year Annual Research Report
がん抑制タンパク質p53の四量体形成ドメインのフォールディング
Project/Area Number |
16041202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂口 和靖 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00315053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今川 敏明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20142177)
嘉屋 俊二 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90186023)
中馬 吉郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40372263)
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Keywords | フォールディング / 癌抑制タンパク質 / オリゴマー / 蛍光 / 変性 / 変異体 |
Research Abstract |
がん抑制タンパク質p53の機能発現のためには四量体の形成が必須である。ヒト悪性腫瘍においてp53四量体形成ドメイン30アミノ酸残基中に18もの残基にミスセンス変異が発見されており、これら変異によるp53機能の不活性化機構の解明は、p53遺伝子のミスセンス変異による細胞がん化を理解する上で極めて重要である。本研究では、ホモオリゴマー形成過程理解のために、がん抑制タンパク質p53四量体形成ドメイン構造について、p53四量体のフォールディング過程の解析、およびp53四量体ドメイン変異体の構造安定性の解析を実施し、以下の成果を得た。 1.p53四量体形成ドメイン中の疎水性残基をTrpに置換した数種のペプチドを合成した。合成したTrp含有ペプチドは、天然型様の四量体構造を形成し、その構造安定性はペプチド間でほぼ同等であることを確認した。また、それらの蛍光スペクトルのピーク位置や強度は、各Trp残基が置換する前の天然型と同様の環境に存在することを示した。ストップトフロー法により変性およびリフォールディング反応時に起こる各ペプチドの蛍光変化を解析した結果、すべてのTrp含有p53ペプチドにおいて、変性時では一相一分子反応、リフォールディング時では一相二分子反応であった。さらに、リフォールディング時の速度定数はTrp残基に置換した位置特異的な値を示した。これらの結果から、p53四量体形成ドメインは二分子会合の際にターン領域を始点としてフォールディングすることが示唆された。 2.変異が見つかっている18残基中より4残基を選択し解析した結果、これらの変異ペプチドはいずれも熱、変性剤に対して不安定であることが明らかとなった。また、興味深いことにターン部変異体が、アミロイド様繊維を形成することが判明した。また、変異体は天然型ペプチドとヘテロオリゴマーを形成した。これらの結果より、p53不活性化機構が示唆された。
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