2004 Fiscal Year Annual Research Report
尿素・アクチン等生体分子周りに発見されたハイパーモバイルな水層の誘電分光解析
Project/Area Number |
16041203
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 誠 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60282109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 崇 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40361133)
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Keywords | 生物物理 / ナノバイオ / 分子モーター / 物性実験 / プロテオーム / 誘電分散 / 水和測定 / ハイパーモバイル水 |
Research Abstract |
生体分子の水和現象はタンパク質分子をはじめ多くの生体分子の機能に密接にかかわっている。通常の水和では水分子の回転運動性は水和することによりバルクの水より低下する。しかしながら本研究代表者らが、尿素や運動タンパクであるアクチン分子の周りには、バルクの水より運動性の高い水が存在することが発見された。この水をハイパーモバイル水とよび、誘電分光スペクトルを解析すると通常の自由水や水和した水と明確に区別できる緩和周波数をもつ水が取り囲んでいることを定量的に計ることができる。本研究では、尿素の水溶液の温度を変えて、ハイパーモバイル水の誘電緩和周波数やその水の数を測定したところ、誘電緩和周波数は自由水が17GHzであるのに対して40GHzとなり、また回転運動性に直接かかわる誘電緩和周波数の活性化エネルギーは自由水が19.4kJ/molに対して7.5kJ/molとなり、約3倍運動性が高い水であることがわかった。通常の水和水の数は尿素1分子あたり、4個から4.5個、ハイパーモバイル水の数は3〜3.5個どちらも温度上昇とともにわずかに増大する傾向が見られた。 アクチンフィラメントにミオシンの頭部S1が結合して力を発生する過渡的な状態は、解析が困難なため詳細が理解されていない。本研究では、ミオシンS1のループ2にアクチンの遺伝子コードを挿入したキメラ遺伝子を作成し、粘菌で発現させたActo-S1キメラタンパクを作成した。このタンパクは自分自身で重合してRIGOR様のフィラメントを形成しATP分解活性が1.01/sと、天然の粘菌のアクトS1の4分の1程度である。このキメラタンパクを通常の骨格筋アクチンと共重合させたものは、ミオシンをコートしたガラス板上を滑らかに滑走することが見出された。
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