2004 Fiscal Year Annual Research Report
複合体形成に伴うタンパク質の立体構造変化パスウェイの予測・解析法の開発
Project/Area Number |
16041206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺田 透 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教授 (40359641)
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Keywords | 分子動力学法 / マルチカノニカル / calmodulin / 立体構造変化 / 一般化Bornモデル / Poisson方程式 |
Research Abstract |
情報伝達系で機能するタンパク質には、リガンドと結合することによって立体構造が変化し、下流に位置する因子と相互作用できるようになるものが数多く知られている。こうしたタンパク質の機能発現のメカニズムを理解するためには、構造変化過程を明らかにすることが欠かせない。本研究では、リガンド結合に伴って立体構造が変化するモデル系として、カルシウム結合タンパク質calmodulin(CaM)を採用し、マルチカノニカル分子動力学法に基づく理論的アプローチにより構造変化過程を解析した。具体的には以下の成果を得た。 1.Ca^<2+>非結合型のCaMのNMR構造に、2分子のCa^<2+>イオンを、エネルギー最小位置に付加したモデル構造を作成した。次いで、この構造を初期構造とするマルチカノニカル分子動力学シミュレーションを行った。シミュレーション条件を変えて検討を行った結果、モデル構造からCa^<2+>結合型の構造に遷移させることに成功した。CaMは立体構造変化前後で4本のヘリックスの配向が大きく変化するが、シミュレーションで得られた構造のヘリックスの配向は、Ca^<2+>結合型のNMR構造のものとよく一致していた。また、側鎖構造についてもCa^<2+>結合型の特徴と一致していた。シミュレーションのトラジェクトリを解析した結果、大きな立体構造遷移が起こる前に、疎水コア構造の再編が起きていることが明らかになった。これが立体構造遷移を可能にしていると考えられる。 2.並行して10残基のペプチドについてマルチカノニカル分子動力学シミュレーションを行い、一般化Born法による溶媒和自由エネルギーの値を、Poisson方程式解を用いて精度を向上させる方法を新たに開発した。更にこのシミュレーションのトラジェクトリから、立体構造変化パスウェイを構築し、グラフを用いて可視化する方法を開発した。
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