2004 Fiscal Year Annual Research Report
プロリン異性化酵素における触媒機能発現の物理化学的解析
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16041210
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊倉 貞吉 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 助教授 (50251393)
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Keywords | たんぱく質 / 機能 / プロリン異性化酵素 / シクロフィリン / FKBP12 |
Research Abstract |
ひとつの蛋白質が複数の機能を担っている例が多く知られるようになってきた。そこで、本研究では、プロリン異性化酵素を取り上げ、機能獲得の難易度を指標にして、その多機能性についての考察を試みる。具体的には、活性部位について、多様な変異を与えることにより酵素活性がどのように変化するのか、基質ペプチドとの相互作用の自由エネルギーがどのように変化するのか、という問題について、実験的に解析を行う。 本年度は、代表的なプロリン異性化酵素である大腸菌シクロフィリンとヒトFKBP12の両蛋白質について活性部位変異体を作成し、変異が酵素反応に及ぼす影響を網羅的に解析した。大腸菌シクロフィリンとヒトFKBP12の活性部位を、数種類の基質複合体の結晶構造をもとに解析すると、前者についてはArg43、Phe48、Arg87、Leu108、Tyr120が、後者についてはAsp37、Arg42、Phe46、Val55、Tyr82が、重要な残基であると予想された。これらの中で、基質のプロリン残基との直接相互作用が認められた大腸菌シクロフィリンのArg43とヒトFKBP12のAsp37の各々を19種類の他のアミノ酸に置換した変異蛋白質を作成した。これら変異蛋白質について、4残基からなるペプチド誘導体を基質アナログとして用いた異性化活性測定、シクロスポリンAとラパマイシンを用いた結合活性測定、さらに、HIV-1のキャプシド蛋白質とTGF-βのI型受容体のアミノ酸配列から抽出したそれぞれ20残基と25残基からなるペプチドとの相互作用測定を行った。これらの結果に基づき変異がそれぞれの反応に及ぼす影響を明らかにした。
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