2004 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の非天然状態における疎水効果の役割と分子機構の解析
Project/Area Number |
16041214
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
曽田 邦嗣 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (10011686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城所 俊一 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80195320)
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Keywords | 蛋白質 / 非天然状態 / 疎水効果 / 折り畳み / 分子動力学法 / 逆疎水効果 / 示差走査熱測定法 / 等音酸滴定熱測定法 |
Research Abstract |
疎水効果は,水中にある非極性原子団の間に働く熱力学的な引力相互作用に起因する効果である。疎水核の存在などから,天然構造の安定化に関わる因子として疎水効果は人口に膾炙しているが,本研究では更に,非天然平衡状態や非平衡折り畳み過程における疎水効果の役割と分子的詳細の解明を目的としている。分子動力学(MD)法を中心とする計算科学的手法と物理化学実験的手法を用いた研究から,以下の成果を得た: 1.開発した自動同定法を用いて決めたSH3ドメイン及びcsp Aの疎水クラスタ残基をバネで繋いだ擬ペプチド鎖についてMD模擬計算を行い,何れも有意の疎水凝縮を示すと共に,折り畳み過程における分子鎖のトポロジー探索において疎水・親水両相互作用の協同効果が重要な役割を果たすことを示す結果を得た。 2.水和の寄与を取り込んで,アミノ酸,ペプチド,天然及び解鎖状態の蛋白質の部分分子容を包括的に予測する手法を開発した。更に,溶液X線散乱(SXS)プロフィルの計算法を組み合わせて,非天然状態の構造モデルを検定する方法を開発した。これをミオグロビンの酸変性状態に適用して,局所的塊状構造の存在や静電斥力による分子鎖の伸張など,酸変性構造の特性を明らかにした。 3.解離性アミノ基を疎水性の異なる3種のアシル基で完全修飾したリゾチームを調製し,示差走査熱測定法を用いて変性熱力学量を決定した。その結果,異なる修飾基の移相自由エネルギーと変性自由エネルギーが明確な正の相関を示し,疎水基が凝集して変性状態を安定化する「逆疎水効果」の存在が確認された。 4.水-HFIP混合溶媒での蛋白質の変性とそれに続くアミロイド形成に関連して,前駆体としての変性蛋白質の球状会合体の構造を分光学的手法とSXS法を用いて解析した。その結果,球状会合体はHFIP分子を取り込むと共に,蛋白質は天然構造とも,単独の変性構造とも異なる構造で凝集していることを見出した。
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Research Products
(5 results)