2004 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド線維形成を引き起こす生体内分子環境の解明
Project/Area Number |
16041217
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
内木 宏延 福井大学, 医学部, 教授 (10227704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 一浩 福井大学, 医学部, 助手 (60324159)
今野 卓 福井大学, 医学部, 助教授 (50225637)
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Keywords | アルツハイマー病 / βアミロイド線維 / アミロイド線維分解 / 透析アミロイド症 / β2-ミクログロブリン / 変性中間体 / 生体膜模倣環境 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
アミロイド線維は、蛋白質が異常な立体構造をとり、線維を形成したものである。われわれはこれまでに、アルツハイマー病βアミロイド線維(fAβ)、及びβ2-ミクログロブリン(β2-m)アミロイド線維等について、試験管内アミロイド線維形成反応系を開発した。それらを用いて線維形成過程を説明する重合核依存性重合モデル、及び線維伸長過程を説明する一次反応速度論モデルを構築した。本年度は様々な生体分子および有機化合物が線維形成過程に及ぼす影響を解析し、以下の成果を得た。 1.β2-mアミロイド線維(fAβ2M)の試験管内伸長において従来は酸性条件下で伸長反応を行ってきたが、より生体条件に近い伸長促進因子を探索した。その結果、生体界面活性物質アナログと考えられるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を臨界ミセル濃度(CMC)程度(0.2-1.0mM)になるように添加すると、中性pHでfAβ2M伸長効果を有することを見出した。この濃度領域のSDSはβ2-mの立体構造を部分的に変化させていること、線維構造を安定化すること、SDSの陰性荷電が伸長促進効果に必須であることを解明した。2.試験管内でAβ蛋白質からのfAβ形成を阻害し、かつ形成されたfAβを不安定化する有機化合物を引き続き探索し、タンニン酸、ビタミンA誘導体、及びクルクミンが強力な線維形成阻害・不安定化作用を示すことを見出した。また、これらの分子レベルでの阻害機構を赤外吸収法、質量分析法などにより解析を進めた。3.試験管内でAβ蛋白質からのfAβ形成を、界面活性剤や、GM1ガングリオシドを含むリポソーム等による生体膜模倣環境が促進することを見出した。また、Aβ蛋白質がGM1ガングリオシドを含むリポソームに依存して立体構造を変えること、これが脳内において重合核として機能する可能性が高いことを示した。
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