2004 Fiscal Year Annual Research Report
赤色感受性視物質アイオドプシンに結合するアニオン・水分子の物性と機能の解明
Project/Area Number |
16041224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
七田 芳則 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60127090)
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Keywords | 視物質 / アイオドプシン / 蛋白質発現 / 部位特異的変異 / UV-可視分光法 / フーリエ変換赤外分光法 / 水 / ニワトリ |
Research Abstract |
研究計画書に記載の実験計画に従い、以下の研究を行った。 1.発色団レチナールの構造に塩素イオン結合がどのように影響するかを検討するために、共役二重結合系を構成する炭素原子、および、その炭素原子に結合する水素原子をそれぞれ13Cおよび2Hに置換したレチナールを含むアイオドプシンを調製し、それを液体窒素温度で光照射することによりバソ中間体との差FTIRスペクトルを測定した。そして、得られたデータを塩素イオンの結合サイトを持たないロドプシンを試料として得られたデータと比較検討した。その結果、元の状態(ロドプシンおよびアイオドプシン)では発色団の構造にそれほどの違いはないが、アイオドプシンのバソ中間体はロドプシンのそれに比べてレチナールのC12-C14が大きくねじれており、近傍に結合している塩素イオンが発色団の構造に影響していることがわかった。一方、それ以外のシッフ塩基結合部位などについては、両者で基本的に同様であることがわかった。 2.塩素イオン結合の生理的役割を検討するために、培養細胞系での発現が可能となったサル緑視物質を実験材料として、塩素イオンの結合サイトであるH197を他のアミノ酸残基に置換して、塩素イオンが結合しない変異体の作製を試みた。ロドプシンでは同じ位置にグルタミン酸を持つので、最初にヒスチジンをグルタミン酸に置換することを試みた。しがし、この変異体は培養細胞では発現しなかった。そこで、発現が可能であることがわかったアラニン変異体について、そのスペクトル的性質と反応過程を検討した。その結果、メタI中間体ではすでに塩素イオンが遊離し、G蛋白質を活性化する中間体(メタII中間体)ではすでに塩素イオンの効果のないことがわかった。つまり、Lグループにおける塩素イオンの役割は主に波長制御にあることがわかった。
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