2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16041234
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
入佐 正幸 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (60284600)
|
Keywords | 溶液理論 / 排除体積 / 会合 / モーター蛋白質 / フィラメント形成 / アルファシェイプ / 凸包 / ボロノイ図形 |
Research Abstract |
最近注目されている排除体積効果による溶液中(細胞内を模した高濃度溶液)の蛋白質分子の会合の促進(macromolecular crowding)、生体にとって重要な蛋白質分子間相互作用、およびそれらの結果としての重合を溶液理論の立場から解明する。その際、溶液理論の一つである拡張scaled particle theory (XSPT)を応用する。蛋白質分子形状の会合および重合への影響の計算に溶液理論と情報理論における計算幾何学手法を組み合わせる手法を確立する。 1.溶液中の蛋白質分子間の相互作用へのXSPTの応用。アクチンのダイマーについて、相対的な配置を変えて排除体積効果起因の平均力を計算した。その結果、実験で予想されている配置(会合したアクチンフィラメント内での螺旋の道筋に沿った配置)が、この平均力では最も安定であることがわかった。また、アクチンフィラメントを安定化させる(そのために動的な会合乖離を阻害する)ファロイジン分子が同時に会合する場合、ダイマー状態がより安定化されることがわかった。また、遊離したアクチンの濃度が濃いほど、ダイマーが安定化することがわかった。 2.水中の蛋白質にXSPTを応用し、PPTおよびBPTIでの熱容量を計算した。その際、具体的には水和自由エネルギーの温度依存性を計算した。その結果、実験から知られているように、計算した天然状態および非天然状態での熱容量は温度によらずほぼ一定の値となった。また天然構造での計算値は定量的にも実験値とほぼ一致した。一方、コンピューターで作成した非天然状態でのモデル構造の熱容量は、熱測定での経験的計算手法で用いられる伸びきった構造よりも、ある程度コンパクトな構造の方が実験値に近づくことを示した。
|