2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16041235
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
皿井 明倫 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (20221286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上平 初穂 筑波物質情報研究所, 生物物理部, 研究員
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Keywords | 水 / 蛋白質 / 安定性 / 相互作用 / 熱力学 |
Research Abstract |
蛋白質の安定な構造形成や相互作用には構造的特性だけでなく熱力学特性も重要な役割を果たす。本研究では、蛋白質の構造安定性および核酸との相互作用について解析を行い、以下のような成果を得た。 1.蛋白質の構造安定性や相互作用の研究に必要なデータベースの開発をすすめた。蛋白質熱力学データベース、ProTherm、には新たに1,500件余りのデータを文献から収集し追加した。蛋白質・核酸相互作用熱力学データベース、ProNIT、には新たに約2,300件のデータを追加した。これらの熱力学情報は、生体分子統合データベース、3DinSight、上で構造、配列、機能などの情報と統合した。 2.蛋白質の構造安定性と種々の熱力学パラメータとの関係の解析 ProThermをSTINGという蛋白質の配列・構造解析ツールと統合し、構造と熱力学の関係をより効率的に解析する基盤を整備した。現在、この統合データベースを利用して熱力学データと構造情報の相関について解析をすすめている。 3.蛋白質・核酸相互作用の熱力学パラメータ(特に熱容量)と溶媒接触表面積との関係 これまでに、蛋白質の変性に伴う熱容量変化(ΔC_p)と溶媒露出表面積変化(ΔASA)の間には比例関係があることが知られており、非極性および極性基に対するΔASAの比例係数が求められている。同じ解析を蛋白質・DNA結合について行ってみると、ΔC_pとΔASAの間に比例関係があるものの、その比例係数は蛋白質変性のそれよりも2、3倍大きな値となる。この相違にはいろいろな要因が考えられ、それらの役割について解析をすすめている。 4.蛋白質・核酸相互作用における構造、物性と機能の関係 蛋白質・核酸認識のメカニズムをさまざまな方法で解析しているが、本年度は特に分子動力学によるDNAのシミュレーションを行い、配列に依存した構造変化や柔軟性などの物性が認識の特異性に果たす役割を詳細に解析した。
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